第三者加害

第三者の損害賠償責任との調整

 地方公務員等が第三者の行為によって公務上の災害又は通勤による災害を受けた場合には、基金はその災害によって生じた損害について補償することとなりますが、第三者もまた当該災害の発生について、民法その他の法律によって、損害賠償の責めを負うこととなります。この場合に補償の受給権者に対する損害の補償が基金の補償と第三者の損害賠償によって二重に行われることは、条理に反し、公正を欠くことになるため、地方公務員災害補償法第59条において、基金の行う補償と第三者の損害賠償との調整について次の趣旨の規定が設けられています。

(1)補償の原因である災害が第三者の行為によって生じた場合に基金が補償を行ったときは、基金はその価額の限度において、補償の受給権者が第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得するものであり、基金は当該取得した損害賠償請求権に基づいて、第三者に賠償金の支払を請求することとなります(これを「求償」といいます。)。すなわち、第三者は、基金が補償の受給権者に対して補償を行ったことによって損害賠償責任を免れるものではありません。

(2)前記(1)の場合において、補償の受給権者が第三者から補償の事由と同一の事由による損害賠償を受けたときは、基金は、その価額の限度で補償の義務を免れます(これを「免責」といいます。)。

 具体的には、求償においては、A 補償の種類ごとに補償の事由と同一の事由による損害に関して、補償の受給権者が第三者に対して賠償を求め得る損害額の範囲内であって、B 災害発生の日から起算して3年を経過した日までの間に行った補償の額に相当する額を第三者へ請求することとなります。ただし、求償の相手方たる第三者が損害保険会社等の場合には、Aの範囲内で、行った補償の額を請求します。

 免責においては、補償の種類ごとに補償の事由と同一の事由による損害に係る損害賠償として、受給権者が受けた額に相当する額を、補償額から差し引くこととなります。

 なお、この調整規定における「第三者」とは、当該災害に関し、民法その他の法律による損害賠償の責めを負う者であり、被災職員の所属する地方公共団体及び基金以外のものとされています。

 第三者の行為によって公務上の災害又は通勤による災害を受けた方は、基金の支部に御相談ください。