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役割分担と連携による安全衛生の取り組み 高松市

取り組みのポイント

  • 市職員安全衛生委員会が作成した事業計画をもとに職場単位の事業計画を作成し安全衛生を実践
  • 安全衛生教育や安全衛生標語作成など職員の意識向上の取り組み
  • メンタルヘルスチェックなど「心の健康づくり計画」に基づく多様な対策の実施
  • 市長による職場巡視の実施など職場の安全点検を徹底

高松市では、市職員安全衛生委員会の主導のもと、各職場で安全衛生教育等の多様な活動が実施されています。それらの活動は市安全衛生事業計画において明確に位置づけられ、その実現に向けて市委員会が職場の支援を行い、職場は活動状況を市委員会に報告するなどの協力、支援体制のもとで進められています。こうした、役割分担と連携による高松市の安全衛生の取り組みを紹介します。

1 市委員会と各職場との役割分担と連携による取り組み

高松市では、総務局長を総括安全衛生管理者として市職員安全衛生委員会を設置し、その下に保健所や学校、クリーンセンター等の事業場委員会を設けています。安全管理者、衛生管理者については、事業場委員会のある職場のほか、斎場公園等の関係事業場の長など31名を選任するとともに、市独自の安全管理補助者、衛生管理補助者を35名選任するなど、法令に求められる以上の安全衛生スタッフを配置しています。補助者には、主に課長補佐級職員が選任されていますが、管理者の指示に即して、安全衛生活動の実務を遂行するなど、職場の安全衛生の中心的な役割を果たしています。

高松市安全衛生管理体制

高松市安全衛生管理体制

総括安全衛生管理者をトップとする市委員会は、市の安全衛生全般にわたる計画や活動等の企画調整など統括的な役割を担います。例えば、市の年間事業計画は、市委員会が毎年度これを作成し、各職場に提示します。現場業務のある清掃や建設部門等の職場では、この計画に即した職場事業計画を作成し、活動を実践するとともに、「職場安全チェックリスト」により活動状況の自己点検を実施。その結果は定期的に市委員会に報告されています。

総務局次長人事課長事務取扱の鴨井 厚二氏は「計画に従って事業が展開されているかを各職場に検証させることが目的の一つです。市委員会でも定期的に状況を確認するとともに、必要な助言を行うなど、全体の活性化に努めています。」と語りました。

毎年7月に設定される「職場安全月間」では、安全教育や安全衛生標語募集等の活動が職場単位で集中的に実施され、その定着が図られているなど、市委員会が統括的な役割を発揮することで、各職場の安全衛生活動の活性化につながっています。

人事課の皆さん

人事課の皆さん(左から 諏訪主幹課長補佐事務取扱、
鴨井総務局次長人事課長事務取扱、柴田係長、宇野保健師長)

2 職場単位で安全衛生活動を展開

市事業計画では、清掃等の現場業務のある職場において、安全衛生教育の実施や安全衛生標語を作成し、意識の向上、活動の定着を図ることとしています。例えば、安全衛生教育については、職場事業計画の中に位置付けられ、技能講習やKYT(危険予知訓練)などの取り組みが実践されています。一方、市委員会においても、各委員会の委員や安全管理者等を対象とした研修会を開催し、知識や情報に触れる機会を提供することで、職場における研修等の実践に向けた支援を行っています。

また、安全衛生標語については、職場ごとに募集、選定を行い、朝礼等で唱和するなど、安全衛生に対する意識の向上に努めています。

研修の様子

市委員会による研修の様子

西部クリーンセンターの様子

朝礼で標語を唱和する
西部クリーンセンターの様子

人事課職員厚生係係長の柴田 美紀氏は「安全衛生活動を行う上では、職員の安全衛生に関する意識の向上が重要です。そのため、安全衛生教育等を職場計画に位置付け、自主的に実施してもらうこととしています。標語も自らが作成することでより意識を高めることができます。」と効果について語りました。このほか、全ての職場で朝の職員ミーティングを実施していますが、その際には安全衛生に関する話題を入れるように働きかけるなど、日常の中で、無理なく安全衛生を取り入れるための工夫を凝らしながら、職員、職場の意識向上と安全衛生活動の一層の促進に日々努力しています。

3 復職支援等のメンタルヘルス対策の取り組み

職員の長期療養者のうち、精神性疾患を理由とする者の割合が高率で推移しているなど、高松市においてメンタルヘルス対策は重要な課題となっています。このため、市は平成25年度から、職場復帰支援やメンタルヘルスチェックの制度運用を開始するとともに、平成26年度には「心の健康づくり計画」を策定し、本計画に基づくメンタルヘルス対策に重点的に取り組んでいます。

復職支援制度について柴田係長はこう語ります。「以前は、完治しないまま復職し、その後に再発してしまうケースも多くありましたが、最近は再発が若干減ってきています。職員にはしっかりと療養を考えてもらうよい機会になっていると思います。」

また、メンタルヘルスチェックは、制度義務化の動きにあわせて導入された取り組みで、平成25年度から3か年を「試行期間」と位置付け、全ての常勤職員を対象に実施しています。チェックリストは、産業医が面談等で使用するものを参考に事務局が作成したもので、実施前には庁内イントラネットを活用し周知を行うなど、実施率向上にも努めています。今後は、項目の見直しなど試行で明らかになった課題への対応を図るとともに、対象を非常勤職員まで拡大するなど、本格実施に向けて準備を進めていきます。

心の健康づくり推進体制

心の健康づくり推進体制

4 トップ(市長)による職場巡視など安全点検の徹底

市事業計画において、安全点検の徹底を掲げる高松市では、市長による職場巡視が毎年度実施されています。巡視場所は出先機関が中心となります。当日は、職場の概要説明を受けた後、施設内を中心に巡視を行い、最後に講評を兼ねた市長と職員によるミーティングが行われるなど、限られた時間の中で、トップ自らが真剣な職場巡視を実践しています。巡視先の職員だけでなく、安全管理者等を含めた全職員の関心も高まり、安全衛生意識の向上につながっているといえます。

市長による職場巡視の様子

市長による職場巡視の様子(香川図書館)

また、安全管理者や安全衛生委員会の委員、産業医など、安全衛生スタッフによる職場巡視も適切に行われています。例えば、市委員会では、委員会のメンバーが複数チームを作って各職場を定期的に見回り、また、産業医巡視では、事務局がピックアップした改善が必要と思われる職場を中心に巡視を行います。最近の改善事例としては、産業医から給食調理場の温度管理が不十分であるとの指摘があったため、スポットクーラーを購入し、高温多湿の作業環境の改善を図ったことなどを挙げることができます。

こうした職場環境の改善とともに、公務災害件数についても平成26年度発生件数が前年度より減少したなどの改善が見られます。高松市では、安全点検の徹底等の取り組みを継続し、安全衛生の更なる向上を目指します。

スポットクーラー

給食調理場に設置されたスポットクーラー

アドバイザーより一言

アドバイザー/岡﨑氏

高松市では、労働安全衛生法に求められている内容の他に、自主的に「安全管理補助者」や「衛生管理補助者」を設置され、役割を明確にして運用しています。

また、各職場における安全衛生活動の着実な実施、特に職場巡視においては、職員の安全衛生意識の向上を目的としたトップ(市長)自らの巡視やチェック票を作成し漏れのない効率的な巡視をしており良好です。

さらには、高松市独自のメンタルヘルスチェックの実施とその具体的な対応、産業医、臨床心理士、心理判定士による定期的な相談、保健師による随時の相談を実施するなど、積極的な取り組みが伺えます。職員の興味を引くような資料作り(メンタルヘルスチェック『ケチな飲み屋』)なども工夫した活動といえます。

一方で、公務災害の原因調査においては、「不注意」による内容のものも見受けられます。具体的な対策を講じるためにも、真の原因調査を実施し、再発防止につなげることが望まれます。

中央労働災害防止協会 中国四国安全衛生サービスセンター
安全管理士 岡﨑 隆夫

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City profile

香川県高松市

香川県高松市位置

  • 面積 375.23km2
  • 人口 419,381人
    (2015.4.1現在)
  • 人口密度 1,118人 /km2

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取材先:人事課

職員数3,950人
【内訳】
一般行政 1,880人
教育 464人
消防 471人
公営企業等 852人
(2015.4.1時点)

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