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Report4 Himeji City

職員一人ひとりの意識を高める安全衛生の取り組み 姫路市

取り組みのポイント

  • 全ての安全衛生委員会が月1回開催するなど徹底した法令順守の安全衛生管理体制
  • ヒヤリハット・公務災害事例の全職員への周知等により職員一人ひとりへの安全衛生意識を浸透
  • 全職員への研修や労務管理推進員の設置等、メンタルヘルス・長時間勤務対策の充実・強化

平成8年度に全国で初めて中核市となった姫路市では、全ての安全衛生委員会を毎月1回開催しているほか、ヒヤリハット・公務災害事例を全職員に周知しています。メンタルヘルス研修は全職員が必ず受ける仕組みが整えられています。こうした職員一人ひとりの安全衛生意識を高める姫路市の取り組みを紹介します。

1 月1回の安全衛生委員会の開催等法令順守の管理体制

中核市として多様で幅広い行政を行い、兵庫県内で第2位の人口を擁する姫路市は、こうした規模の大きさから、22の安全衛生委員会を設置していますが、労働安全衛生法令どおり全ての委員会が毎月1回開催されています。

姫路市安全衛生管理体制

姫路市安全衛生管理体制

従前から、これだけ多くの安全衛生委員会が持続して月1回開催していることについて、研修厚生センターの保健師で係長の井川 理佳氏は「各委員会の事務局担当者は毎月開催するものと考えていますし、各委員も出席は当然として業務を調整してくれます。」と、長年の月1回開催によって培われた職員の意識の高さを語りました。

井川係長

「毎回、各委員会とも熱心に審議が行われています」と語る井川係長

また、50人未満の事業所は、労働安全衛生法令では安全衛生委員会の設置義務はありませんが、委員会は職種ごとに組織することを基本にしているため、一事業場が50人未満でも安全衛生委員会を設置し、安全衛生の向上を図っています。市が委員会を独自に設置していることについて、井川係長はこう語りました。「共通の課題をスムーズに解決できるよう、関連のある職種ごとに委員会を設置することにしています。中でも現業職のいる事業所など、安全の取り組みが不可欠な事業所は、50人未満でも委員会を置いています。

さらに、市長部局は総括的組織である「安全衛生審議会」を設置し、各委員会の年間計画や活動実績の報告、審議を行うことで、各委員会活動の総合調整や情報共有を図っています。

2 ヒヤリハット・公務災害報告による公務災害防止の取り組み

前記のとおり、市では労働安全衛生法令以上の安全衛生管理体制を敷いて安全衛生の向上に取り組んでいますが、より一層公務災害の未然防止を図るため、平成20年度からはヒヤリハット事例の収集、検証、対策の実施及び周知に取り組んでいます。職員はヒヤリハット事例が発生すると、ヒヤリハット報告書を所属長に提出します。当該所属は事例の検証結果や実施した対策を記載して、属する安全衛生委員会に提出します。委員会は再度検証等を行い意見を付して、研修厚生センターに提出します。

さらに、市長部局の安全衛生審議会では現実に発生した災害に学び、委員会で情報共有することが、同様の災害の未然防止に最も効果的であると考え、平成22年度から公務災害が発生した場合には、各所属長は公務災害報告書を作成し、属するの安全衛生委員会及び研修厚生センターに報告することとしています。なお、報告書の様式にはあらかじめ赤字で記入例が記載されており、迅速な報告書の作成に役立っています。

ヒヤリハット事例の処理フロー

ヒヤリハット事例の処理フロー

こうして全ての報告書は研修厚生センターに集約され、庁内ネットワークに掲載されて全職員に周知されており、ヒヤリハット・公務災害事例を全職員にフィードバックすることで、職員一人ひとりのリスクへの感受性の向上を図っています。

これらの取り組みで公務災害防止の意識向上に努めたところ、市の公務災害認定件数(突発的な大規模災害によるものを除く)は、平成22年度をピークに減少に転じ、改善が図られています。

3 全職員への研修等メンタルヘルス対策等の強化・充実

行政需要の増大等により全国的に地方公務員のメンタルヘルス不調による長期病休者の割合が増加する中、姫路市でも同様の傾向にありました。そこで、市ではより一層の取り組みの充実・強化を図っています。

研修厚生センター副所長の福間 章代氏は「平成23年度から研修厚生センターの保健師が2名に増員されたほか、新採職員が最初に体調を崩して、そのまま引きずってしまう事例があったため、新採職員全員への面接を開始しました。平成24年度には心の健康づくり計画を策定しましたので、それに基づき平成24年度から26年度の3年間で、主任以下の全職員にセルフケアの研修を実施しました。また、それまで試行的に行っていた試し出勤を、平成26年度に実施要綱を定めて本格実施しています。」と、取り組みの強化について語りました。

これらメンタルヘルス対策の強化により、早期の相談が増えるなど全庁的に職員のメンタルヘルスへの理解促進が進んだことなどから、メンタルヘルス不調による長期病休者は、平成22年度をピークに減少傾向に転じています。

福間副所長

「全職員がメンタルヘルス研修を受ける仕組みになっています」と語る福間副所長

また、平成24年度から1月あたり80時間を超える時間外勤務をした職員全員に健康チェックを実施し、健康管理上必要と判断した時は、保健師又は医師が面接しています。さらに平成26年度からは、所属長(課長級職員)は業務管理に時間を割かれ、なかなか労務管理まで十分に手が回らない状況にあることから、部長級職員を「労務管理推進員」として設置しています。これにより直近上位の部長級職員が所属長の時間外勤務の短縮やメンタルヘルス対策、ハラスメント対策等を支援・指導し、職員が安心して働くことができる環境づくり等の促進を図っています。

労務管理推進員の業務

労務管理推進員の業務

アドバイザーより一言

アドバイザー/柏氏

市町合併による市域の拡大や組織変更等に対応して、安全衛生委員会の変更・新設を行い、職種ごとの委員会や労働安全衛生法令に規定のない50人未満の事業所にも安全衛生委員会を設置して、積極的に安全衛生管理を進めています。平成20年からはヒヤリハット事例を収集・分析し、対策に取り組むとともに、結果を庁内イントラネットに掲載して、全職員に周知することで安全管理の徹底が図られています。この結果、市長部局での公務災害の減少等の効果が表れています。

メンタルヘルス対策では、平成24年度から3年間で一般職全員の約2千人にセルフケア研修を行ったほか、平成26年度から本格実施されている試し出勤制度により、メンタルヘルス不調による休職者の円滑な職場復帰支援が期待されます。

今後はヒヤリハット事例の提出を促進する動機付けの取り組みや研修厚生センターから健康管理面に資する長時間労働削減の一層の呼びかけをお勧めします。

中央労働災害防止協会 近畿安全衛生サービスセンター
安全・衛生管理士 柏 洋一

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City profile

兵庫県姫路市

姫路市位置

  • 面積 534.43km2
  • 人口 534,813人
    (2014.11.1現在)
  • 人口密度 1,000人 /km2

見どころ

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〒670-6501
兵庫県姫路市
安田4-1
取材先:研修厚生センター

職員数3,790人
【内訳】
一般行政 2,246人
教育 638人
消防 553人
公営企業等 353人
(2014.4.1時点)

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