地方公務員災害補償基金 Fund For Local Government Enployees' Accident Compensation

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Report1 Miyagi Prefecture

宮城県

取り組みのポイント

  • 25の安全衛生委員会と全庁を総括する職場安全衛生委員会による充実した安全衛生管理体制
  • 産業医による職場巡視と職場環境改善アドバイザー派遣事業を活用した効果的な安全衛生管理
  • 全国ワースト上位を争う高メタボ率脱却に向けた身体活動“増量”キャンペーンや3分間体操等の様々な取り組み
  • 職員の健康支援のための産業医作成「なるほど健康診断」と職場復帰のための細やかな職場復帰システム

自治体の規模は様々ですが、都道府県レベルになると職員も増え、安全衛生面の管理もより複雑さを増してきます。宮城県では、現在、25の安全衛生委員会が設置されており、さらに、それらを含めた県全体の安全衛生を総括(警察や教育委員会を除く。)する宮城県職員安全衛生委員会が設置されています。

宮城県では、安全面はもちろん、近年の課題であるメンタルヘルス対策に特に重点を置いて活動を推進していますので、取り組み状況についてご紹介します。

1 25の安全衛生委員会と全庁を総括する職場安全衛生委員会による充実した安全衛生管理体制

自治体はその規模により運営形態が大きく異なります。安全衛生面の管理についても、同じ体制というわけにはいきません。小規模自治体では適宜個々の対応が可能なものも、都道府県レベルになると職員も増え、安全衛生面の管理もより複雑さを増してきます。宮城県では、現在、25の安全衛生委員会等が設置され、各事業場ごとに安全衛生面の管理がなされています。そして、それら安全衛生委員会のほか安全衛生委員会が設置されていない課所も含め、全庁を総括する機関として、宮城県職員安全衛生委員会(警察や教育委員会を除く。)が設置されています。

宮城県職員安全衛生委員会では、委員会を年2回開催し、全庁レベルの議題について協議検討しています。また、毎月1回、産業医による職場巡視を行っています。産業医の木村 維子氏いわく、「職場巡視の際は、健康を害していないか各職員の顔色もチェックしています。」と、安全面だけでなく、職員の健康面にも目を配る細やかな巡視を実施しています。また、部ごとに主管課の衛生担当者に同行してもらうことで、課所レベルでは対応できない課題の速やかな解決に結びつけているとのことでした。東日本大震災を機に、一斉に書類や物品の整理にも手を付けるなど、職場の環境改善に積極的に取り組む姿がうかがえました。

なお、各地域においては、圏域を設定し、地方の産業医が巡視計画に基づき、職場巡視を行っているとのことでした。地方振興事務所に置かれた安全衛生管理者会議の事務局が、各地域における報告書等の取りまとめを担当するなど、多数の職員を抱える都道府県ならではの組織的取り組みが行われていました。

宮城県の安全衛生管理体制 (2017 年4月1日現在)

図:宮城県の安全衛生管理体制

写真:スタッフの皆さま

職員の安全と健康を守るスタッフのみなさん
(左から保健師の氏家氏、産業医の木村氏、職員厚生課の菅原氏、阿部氏)

 

2 産業医による職場巡視と職場環境改善アドバイザー派遣事業を活用した効果的な安全衛生管理

今年度(平成29年度)、宮城県では、地方公務員災害補償基金からの委託を受け、(一財)地方公務員安全衛生推進協会が実施している「職場環境改善アドバイザー派遣事業」を活用し、県産業技術総合センターにおいて、外部専門家による安全衛生に関する職場巡視を実施しました。普段職場にいる職員では気付かない、あるいは何となくうまく運用してしまっていることも、外部の目で客観的に危険性を判断し、今後の安全衛生活動に役立てていただく、という事業ですが、実施にあたっては、県の安全衛生面を管理する職員厚生課からの指示ではなく、産業技術総合センターから職員厚生課に派遣要請の依頼があったとのことで、各事業場の安全衛生に対する意識の高さがうかがえました。

 

3 全国ワースト上位を争う高メタボ率脱却に向けた身体活動“増量”キャンペーンや3分間体操等の様々な取り組み

宮城県は、メタボリックシンドロームに関する統計がとられるようになった平成20年から高メタボ率上位が続いています。車社会、運動不足、食べる量が多い、食材が豊富、飲酒、喫煙など、土地柄様々な要因が重なっての結果であるとのことですが、残念ながら、決して誇れる結果ではありません。

そこで、まずは県職員からということで始めたのが、「“脱メタボ”キャンペーン」です。運動不足を解消するため、「職員の身体活動“増量”キャンペーン」を平成29年2月から開始しました。運動の習慣化に向けて、庁舎内での階段利用を職員に訴えています。行政庁舎の階段には、1階から18階まで蹴上部分に様々な標語が並びます。「お父さん 10キロやせたら ステキだよ」や「目指そうよ 宮城一丸 脱メタボ」など、心をくすぐる言葉が階段利用を誘います。取材で伺った際は、私も楽しみながら階段を利用させていただきました。

写真:階段の写真には「食べて寝て肥満のもとだよお父さん」などの標語が貼られている。

脱メタボ標語や応援メッセージ等を貼って階段利用を促進

また、「脂肪燃焼ウォーキング」として、庁舎2階廊下に足跡のマーキングが並んでいます。「男女別に、それぞれ平均身長から算出した、脂肪を燃焼しやすくするための少し広めの歩幅で設置しました。」と職員厚生課健康・福利班主任主査の阿部 累氏が話すとおり、自然と歩みが早くなるくらいの歩幅で足跡が設置されていました。

写真:女性用歩幅シートが床に敷かれている様子

脂肪の燃焼に効果的な歩幅を示した
「歩幅マーキングシート(女性用)」

写真:男性用歩幅シートが床に敷かれている様子

歩幅マーキングシート(男性用)

また、職員厚生課健康・福利班課長補佐(班長)の菅原美智子氏の話では、「午後3時の3分間体操は50年前から続けています。」とのことで、現在の参加率は1割程度と、さらなる参加率のアップが期待されるところですが、「継続は力なり」で今後の成果が期待されます。数年後、スリムで健康体型になった宮城県職員に会うのが楽しみです。ちなみに肥満率が高いのは、平成28年度の定期健康診断結果によると男性49.9%、女性17.2%で圧倒的に男性職員となっています。

 

写真:3分間体操について書かれた用紙

50年前から続く伝統の3分間体操

写真:よし!階段で行こう!とかかれている啓発ポスターの写真

啓発ポスターで階段の利用を促進

 

4 職員の健康支援のための産業医作成「なるほど健康診断」と職場復帰のための細やかな職場復帰システム

毎年、皆さんが受診されている職場の定期健康診断や人間ドック。受診後に交付される健診結果を皆さんは健康管理にしっかり役立てているでしょうか。検診の結果、経過観察が必要な方、要再検査との結果を提示された方は意外と多いと思います。「ああ、今年も少し悪くなったけどまだ大丈夫かな。」、「結果は悪いが、生活に支障はないし問題ないだろう。」とそのままにしていては、健康を害すばかりか、仕事が続けられなくなる事態にもなりかねません。

そんな職員の皆さんに健康で充実した職場生活を送ってもらいたい。そんな思いで産業医の木村 維子氏が作成したのが「なるほど健康診断」です。健康診断の結果について、職員の皆さんが見過ごしがち、あるいは目をつぶっている部分にスポットを当て、ずばりアドバイスしてくれるのが本誌です。

写真:階段の写真には「食べて寝て肥満のもとだよお父さん」などの標語が貼られている。

産業医作成の「なるほど健康診断」

 

このほか、風疹や熱中症など話題のテーマを取り上げた「職員健康相談室だより」も職員の健康づくりを後押ししています。

地方公務員の安全衛生管理上、近年の最大の課題ともいえるのがメンタルヘルス対策です。職員厚生課健康・福利班職員健康相談室 保健師の氏家 晃子氏によると、「休職されている職員が復帰するにあたっては、必要に応じて主治医との面談に保健師が同行しています。」とのこと。また、「主治医と精神健康管理医が一致して復帰可能と判断した場合には、健康管理会議(職員健康審査会)を待たずに復帰手続きを始めることもあります。」と、職員本位の柔軟な対応で休職から復帰する職員をサポートしています。

また、ストレスチェックにも力を入れています。東日本大震災から7年が経とうとしていますが、被災地にあってはまだまだ復旧・復興は道半ばです。職員は、復旧・復興に関連する業務など長期間にわたり困難な業務に携わっている方も多く、健康相談の際も、ストレスや悩みについて聞いてみると、突き詰めれば震災の影響が根本にあるということも少なくないようです。そこで、宮城県では、ストレスチェックを年に2回実施することとしました。国が実施している東日本大震災に関連するメンタルヘルス対策5か年事業における震災復興特別交付税を活用したもので、2回目のストレスチェック関連費用が対象とのことですが、年2回ストレスチェックを実施することで職員のストレス度合いを的確に把握し、高ストレス者に対してはカウンセリング(面接指導)等を実施するなど、職員の心のケアに重点的に取り組んでいます。被災地の可能な限りの早い復興をお祈りいたします。

 

アドバイザーより一言

写真:アドバイザーの阿部氏

宮城県「職員安全衛生管理規程」に基づき、安全衛生管理体制を構築して、「宮城県職員安全衛生管理者(総務部長)」を筆頭に、本庁舎・地方機関を含む全体的安全衛生組織として「職員安全衛生委員会」を設置し、積極的な安全衛生管理活動を推進しています。

今年度は「職場環境改善アドバイザー」事業を活用し、宮城県産業技術総合センター(試験研究機関)の職場巡視を行い、アドバイス等を活かして更なる改善に繋げています。今後は、他の現業部門に対しても職場巡視の実施をお勧めします。

メンタルヘルス関連では、業務負荷のかかる震災復興関連業務担当者も多いことを踏まえ、ストレスチェックを年2回(8月と11月)実施することとし、ストレスチェックシステムを利用した迅速な分析と対応を進めています。

今後は、現在、検討中の法定事項に適った各事業場における月一度の安全衛生委員会等の開催等、さらなる安全衛生管理体制の充実を期待しています。

中央労働災害防止協会 東北安全衛生サービスセンター
安全管理士 阿部 美明

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宮城県の位置図

  • 面積 7282.22km2
  • 人口 2,333,899人
    ※平成27年国勢調査
    (2015年10月1日現在)
  • 人口密度 320人 /km2

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職員数 21,852人
【内訳】
一般行政 6,534人
教育 11,442人
消防 3,797人
公営企業等 79人
 (2017年4月1日現在)

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