地方公務員災害補償基金 Fund For Local Government Enployees' Accident Compensation

MENU
お問い合わせ

Report7 Chusan Wide Area Administrative Association

中讃広域行政事務組合

取り組みのポイント

  • 少人数ながら衛生推進者、安全衛生推進者を選任し適切な安全衛生管理を実施
  • 危機管理から生まれる職場環境改善と安全意識の向上
  • 過去の事故事例を活用して類似の事故を未然に防止
  • 職場環境改善アドバイザー派遣事業を活用した積極的な職場環境改善活動

小規模自治体や小規模の事業場では、衛生管理者や安全衛生管理者の選任、安全委員会や衛生委員会の設置が不要なところも多いことでしょう。しかし、そのような小規模の事業場でも、職員数が常時10人以上50人未満であれば業種によって衛生推進者または安全衛生推進者の選任が必要となりますし、安全委員会や衛生委員会の設置が不要なところでも、関係職員の意見を聞くための機会を設けるようにしなければならない旨、労働安全衛生に関する法令で規定されています。

中讃広域行政事務組合は、各事業場における衛生管理者等の選任や安全・衛生委員会等の設置の必要のない小規模な自治体ですが、法令に従い、事業場ごとに衛生推進者または安全衛生推進者を選任し、しっかり安全衛生管理を行っていますので、その取り組み状況を紹介します。

1 少人数ながら衛生推進者、安全衛生推進者を選任し適切な安全衛生管理を実施

中讃広域行政事務組合は、事務職場が4課46人、廃棄物の処理を行う現場のある職場が4施設で42人と小規模な組織です。しかし、各職場、業種により衛生推進者または安全衛生推進者を選任して、適切に安全衛生活動を行っています。

また、各安全衛生推進者等には、計画的に職場巡視や安全衛生管理等に関する研修に参加させて、安全衛生管理活動に関する職員のスキルの向上を図っています。また、常時50人以上が働く事業場はないため、安全衛生委員会等の設置はしていませんが、しっかりとした安全衛生管理を実施しています。

各課、各施設において定期的に朝礼等を実施し、職員から安全面、衛生面に関する意見の聴取や必要な情報伝達を行っています。話を伺ったところでは、役職や経験年数にかかわらず朝礼の当番を割り振っているとのことで、総務課長の松林 正弘氏は「若手職員も朝礼当番を担うことで、他人に言われてやるのではなく、自分自身で安全衛生を意識して考えることが出来るようになる。」とおっしゃっていました。また、廃棄物処理施設では一部業務委託をしていますが、毎月、受託業者と合同で安全衛生会議を開催し、事業場全体として、共通認識のもと安全衛生管理を実施しているとのことでした。

中讃広域行政事務組合では、月に1回、所属長が集まって課長会が行われています。業務に関する様々な事柄について話し合われていますが、安全衛生面についても、必要に応じて課長会の場で報告し、協議を行っているそうです。

職場巡視に関しては、各職場において機器の使用者が、設備点検に合わせてチェックリストによる安全衛生面の確認を毎日実施しているとのことでした。

また、点検などのために危険エリアに入る際には、必ず2人ペアで指差し呼称による安全点検を行っているそうで、その場に指差し呼称の実施手順を掲示し、必要な資料等も備え付けているそうです。

中讃広域行政事務組合の安全衛生管理体制 (2017 年4月1日現在)

図:中讃広域行政事務組合の安全衛生管理体制

写真:松林課長

安全衛生管理体制の構築について、その重要性を語る松林課長

 

2 危機管理から生まれる職場環境改善と安全意識の向上

中讃広域行政事務組合では、危機管理マニュアルを作成しています。一般行政の立場から考えると、危機管理については、地震や洪水等の大規模な自然災害等が発生した際の人命救助や災害復旧等を思い浮かべる方も多いかと思いますが、中讃広域行政事務組合では、廃棄物処理という仕事柄、自然災害に起因するものも含めて、施設としての安全確保や施設内の事故への適切な対応といった部分に重点を置いています。

危機管理マニュアルについてもそういった観点から作成されています。大きく共通マニュアルと施設ごとのマニュアルの2種類に分類されますが、共通マニュアルは、自然災害等の発生に備えた事前の対策や実際に自然災害等が発生した際の対応など、組合全体、つまり組織としての対応について記載され、各施設のマニュアルでは、事故時の各施設における対応が記載されています。

中讃広域行政事務組合では、危機管理に当たっては、日頃の安全管理が重要と考えています。このため、組合内には「危機管理推進会議」が設置され、定期的に話し合いが行われています。現在は、災害発生を想定したワークショップの実施や役割分担等について協議を行っていますが、危機管理マニュアルも含め、総務課主事の石川 悠介氏いわく、「災害時の迅速・的確な対応を可能とするためには、日頃の安全管理をおろそかにできません。」との考えに立って協議が行われており、これが「日常の事故防止のための施設等の改善に生かされ、職員の安全意識の向上にも役立っています。」とのことでした。

写真:石川氏

安全衛生管理業務に熱心に取り組む石川氏

写真:壁の白い大きな紙に、付箋を貼っていく様子

災害発生時の安全確保を考えるワークショップを実施

写真:壁の白い大きな紙に貼った付箋をより大きな写真で見せている

ワークショップの結果は日常の安全対策にも活用される

 

3 過去の事故事例を活用して類似の事故を未然に防止

公務災害を防止するためには、事故事例等を参考にして対策を立てるのが効果的です。中讃広域行政事務組合でも、過去の事例の収集とその対応策について取りまとめを鋭意進め、今後の事故の再発防止に役立てていくとのことでした。

現場のある職場では、特に機械や器具による事故、施設における事故が多くなりますので、安全対策は欠かせません。このような職場では、危険な箇所をそのままにしておくと、いずれまた同様の事故が発生する可能性があります。事前に危険な箇所を把握し対策を実施しておけば、事故を未然に防ぐことができます。危険な箇所を発見するには、過去の事故事例が大変参考になります。別の職場でも、同じような事例があれば、危険を事前に把握して対策をとることが出来ますので、事故事例やヒヤリ・ハット事例の収集やその活用について、まだ実施されていない自治体については、是非、実施されるとよいかと思います。(一財)地方公務員安全衛生推進協会では、今年度(平成29年度)、小冊子『ヒヤリ・ハット事例の活かし方~実践のてびき~』を作成し、各自治体に配布させていただいています。これまでに職場内で発生した、「ヒヤリ」としたり「ハッ!」とした、「結果として大きな事故につながらなかった出来事」をいかに事故の未然防止に役立てていくかというもので、実際の導入に当たってお役立ていただける「実践編」として作成しておりますので、皆さんの参考にしていただけることと思います。

 

4 職場環境改善アドバイザー派遣事業を活用した積極的な職場環境改善活動

中讃広域行政事務組合では、公務災害の未然防止のため職場の環境改善に積極的に取り組んでいます。その一つとして実施しているのが、「職場環境改善アドバイザー派遣事業」の活用です。これは、地方公務員災害補償基金の委託を受け、(一財)地方公務員安全衛生推進協会が実施している事業で、職場の安全や衛生に関する専門家が依頼先の自治体の事業場を巡視し、危険箇所や法令上改善が必要な事項の指摘や職場環境の改善に向けたアドバイスなどを行うものです。

中讃広域行政事務組合では、平成26年度から平成28年度まで3年続けてこの事業を活用し、すべての事業場について専門家である安全管理士による巡視を実施しました。「指摘された事項については全部対応する方向でやらせていただいています。」と総務課課長補佐の香川 知穂氏が言うように、安全管理士から指摘やアドバイスを受けた箇所については、各事業場において対応、改善の上、その状況写真が掲載された報告書が総務課に提出されており、ここでも安全意識の高さがうかがえました。

写真:香川氏

職場環境の改善状況について話す香川氏

写真:職場改善報告書の写真。表の中に改善点が書かれている

職場環境改善アドバイザーの診断を受けて
改善された職場の改善状況報告

写真:報告書は写真をいれてわかりやすくしている。

職場環境の改善状況を写真付きで報告

 

アドバイザーより一言

写真:アドバイザーの山岡氏

公務災害を防止するには、安全確保のためのテクニックを学ぶ必要があります。中讃広域行政事務組合では、地方公務員安全衛生推進協会が実施する「職場環境改善アドバイザー派遣事業」や各種研修会の受講でそのテクニックを学ぶなど、公務災害防止動のストーリー化に取り組まれていると考えます。

各事業所では、公務災害防止の情報提供については安全衛生委員会、小規模な事業場では朝礼にその機能を持たせています。今後の継続をお願いいたします。

公務災害防止活動を行うには“熱意と愛情”が、その底辺をなすと言われています。松林総務課長の説明は、『働く人の命を守るために・・』に対して熱意と愛情を感じました。

安全確保は知識を得る(知る)ことからスタートし、知っていることができるようになることが大切です。そのためには“訓練”を受け、受けた訓練が自らできるように“練習”が 必要です。“学ぶ”→“訓練”→“練習”→“実践”で指差し呼称実施等をお願いします。

中央労働災害防止協会 中国四国安全衛生サービスセンター
衛生管理士 山岡 和寿

この事例のPDFを見る

City profile

中讃広域行政事務組合

中讃広域行政事務組合の位置図

  • 面積 379.01km2
  • 人口 193,866人
    ※平成27年国勢調査
    (2015年10月1日現在)
  • 人口密度 512人 /km2

PRコーナー

City office

中讃広域行政事務組合
(構成市町:丸亀市、善通寺市、琴平町、多度津町、まんのう町)

写真:中讃広域行政事務組合管理棟(左)と瀬戸グリーンセンター

〒764-0021
香川県仲多度郡多度津町堀江5-11
取材先:総務課

職員数 88人
 (2017年4月1日現在)

ページトップへ