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Report5 Okitama Administrative Association

組織外の資源を積極的に活用し安全衛生を向上置賜広域行政事務組合

取り組みのポイント

  • 組織全体の安全衛生計画をもとに事業所ごとの活動計画を策定
  • 外部の専門家による職場巡視でマンネリ化を防止
  • 参加意欲を促す安全衛生標語募集制度

置賜広域行政事務組合では、平成26年度から、外部の労働安全衛生の専門家による職場巡視を実施しています。企画したのは事務局総務課。巡視の考え方や診るべきポイントが参考になったなど、各事業所にも好評です。また、職員を対象とした健康相談でも、地元自治体から保健師を招くなど、組織外の資源を積極的に活用し、公務災害のない職場づくりを進める置賜広域行政事務組合の安全衛生の取り組みを紹介します。

1 事業所と連携して安全衛生を推進

置賜広域行政事務組合は、山形県南部に位置する置賜3市5町(米沢市、長井市、南陽市、高畠町、川西町、白鷹町、飯豊町、小国町)で構成される一部事務組合で、ごみ処理やし尿処理、消防・救急、老人ホームの管理運営、電算業務等の共同処理事務を行っています。

置賜広域行政事務組合安全衛生管理体制

図:置賜広域行政事務組合安全衛生管理体制

組織は事務局と消防本部の2部門で構成され、このうち事務局では、総務課が安全衛生を担当し、出先機関である5つの事業所を管轄。事務局安全衛生委員会の委員は、事務局長、各事業所の所属長等で構成され、毎回、現場の目線から活発な意見が交わされるといいます。また、事業所で業務を行っている委託業者の代表者もオブザーバーとして参加するなど、現場との情報共有、連携を重視した運営が図られています。総務課課長補佐兼総務係長兼会計課課長補佐兼会計係長の髙橋 賢氏は「事業所内の安全衛生管理という点からも、委託業者を含めた事故防止の取り組みは重要です。委託事者の参加を促し、組合の考え方や取り組みを理解してもらうよう、情報提供・共有に努めています。」と語ります。

また、組織としての目標共有、活動促進を図るため、安全衛生計画を総務課が中心となって毎年度作成しています。髙橋課長補佐は「安全衛生の活動指針となるものです。この計画をもとに、事業所ごとに活動計画の作成と報告を義務付けることで、情報の共有、水平展開、事業所の活動活性化等が期待できます。」と計画の重要性と効果について語ります。計画には、事業所における月1回の安全巡視や受動喫煙対策の実施など、事務局全体で取り組む基本事項とともに、特に重要な取り組みとして重点施策を設定。平成28年度の重点施策には「危険予知活動の推進」等が掲げられています。各事業所は、安全衛生計画に即した事業所活動計画を作成。重点施策関連では、施設内にひそむ危険個所の洗い出しなどの危険予知活動に取り組むこととしています。

写真:髙橋課長補佐

事務局安全衛生委員会事務を統括する髙橋課長補佐

2 専門家に学ぶ職場巡視の視点

安全対策の一環として、事務局では職場巡視を積極的に実施しています。基本は事業所主体による巡視ですが、年1回、委員会主体の巡視も事務局長以下、委員全員参加により行われます。委員会巡視の指摘事項については、後日その対応方策を当該事業所に報告させるとともに、各事業所にも周知することで情報共有を図っています。

写真:委員会職場巡視後に開催される報告会の様子

委員会職場巡視後に開催される報告会の様子

また、平成26年度からは、一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会が実施する「職場環境改善アドバイザー派遣事業」を活用し、外部の専門家の視点から巡視を強化しています。同事業は、自治体等の申請に基づき、職場環境改善アドバイザー(中央労働災害防止協会・安全管理士等)を派遣し、職場環境の診断、助言を行うもの。利用のきっかけについて、髙橋課長補佐はこう語ります。「各事業所とも熱心に巡視を実施していますが、職員の視点だけではどうしても甘くなる部分があります。外部からの客観的視点や、事務局では分からない専門的な見地から現状を診断してもらいたい、そう考え申し込みました。」

平成28年度、同事業は千代田クリーンセンター(ごみ処理施設)で実施されました。当日は、作業器具や薬品等の保管状況、落下物や転倒等の危険はないかなどをアドバイザーが入念にチェック。危険箇所・状態の指摘だけでなく、好事例も挙げながら、職場環境の診断と改善のアドバイスを行いました。髙橋課長補佐は「今まで気にも留めなかった点を指摘され、職員も形骸化していた部分があったことに気づかされました。どのような視点で診ればよいかを参考にし、今後に活かしたい。」と語ってくれました。

写真:アドバイザー派遣事業による巡視の様子

アドバイザー派遣事業による巡視の様子
(千代田クリーンセンター)

巡視は、アドバイザーと職員が意見を交わしながら現場を回ります。「その場で確認できるので分かりやすい。」と事業所の職員にも好評だといいます。総務課と事業所が目的を共有して取り組んだ成果ではないでしょうか。今後の展開が期待されます。

3 安全衛生標語やKYT等の取り組み

置賜広域行政事務組合では、事務局と消防本部それぞれが独自に安全衛生活動を展開しています。特徴的な取り組み、効果を上げている取り組みをご紹介します。

安全衛生標語は職員参加型の啓発活動として実施しているものです。各事業所から3点、計15点の標語が委員会に提出され、その中から3点が優秀作品として選定されます。職員の評判も上々。「応募も多く、各事業所も選出するのに苦労しているようです。」と総務課主事の紺野 天地氏は言います。優秀賞の選定は、厳正を期すため、事業所名と作者名を伏せて行われるとのこと。そして、優秀作品に選定された3作品は、イラストを入れたA3版ポスターに仕上げられ、全事業所に掲示されるとともに、作者には記念品が贈呈されます。こうした総務課の計らいが、この取り組みを盛り上げています。

また、長井クリーンセンターと千代田クリーンセンターが実施している健康相談は自治体と連携した取り組みです。それぞれ、年4回、年6回実施され、各センターが独自に地元自治体等に保健師の派遣を要請します。保健指導やメンタルヘルスケア等が行われ、職員にとっては身近な相談窓口として常日頃から健康を意識することができるなど、効果は大きいといいます。組織外の資源を活用し、安全衛生の向上に取り組む好事例です。

写真:安全衛生標語優秀賞3点がイラスト入りポスターとして掲示されている

安全衛生標語優秀賞3点がイラスト入りポスターとして掲示される

消防本部衛生委員会では、消防活動における安全管理の一環として、危険予知訓練(KYT)が定着しています。職員が5名程度のグループに分かれ、現場活動を描いたイラストシートや写真を題材に、どんな危険がひそんでいるのかを話し合い、具体的な解決策を検討するもので、1時間程度かけて行なうといいます。衛生管理者を務める米沢消防署東部分署第一救急係主任の佐藤 浩三氏は「気づきの訓練であり、リスクに対する意識改革や共通認識、意思疎通という面からも効果があります。現場の写真はたくさんあるので、題材には困りません。」と力強く語ってくれました。

写真:紺野主事

「安全衛生標語は注意喚起の一助として
事業所に定着しています」と語る紺野主事

写真:佐藤主任

「消防活動の現場には多くの危険が潜んでいます」と語る佐藤主任

アドバイザーより一言

写真:アドバイザーの阿部氏

事務局安全衛生委員会が毎年度作成する安全衛生計画に基づき各事業所が計画を作成し、活動を積極的に実施しています。

重点事項である危険予知活動は、安全衛生活動の基本でもあるので、少しずつ計画的かつ継続的に実施されることを期待します。

事務局安全衛生委員会の職場巡視では、指摘事項に対する改善報告等を全事業所で共有することで各所の安全衛生活動に反映しています。

安全衛生標語の優秀作品をポスターにして掲示、記念品を贈呈など、職員参加を促す工夫が感じられます。

各事業所における安全衛生の要は事業所管理者(所属長)です。トップ自身の言葉で、安全衛生の基本的な考え方とその責任の所在を明確にした決意を表明して、全職員の協力のもとに安全衛生に対する意識を更に高め、安心・安全な明るい職場環境を構築していくことを期待しています。

中央労働災害防止協会 東北安全衛生サービスセンター
安全管理士 阿部 美明

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City profile

山形県置賜広域行政事務組合

図:山形県置賜広域行政事務組合の位置図

  • 面積 2495.24km2
  • 人口 214,975人
    ※ 国勢調査(平成27年確定値)
  • 人口密度 86人 /km2

見どころ

写真:魅力溢れる置賜3市5町の見どころ 魅力溢れる置賜3市5町

特産品

写真:日本屈指のブランド牛「米沢牛」 日本屈指のブランド牛「米沢牛」

City office

置賜広域行政事務組合事務局

写真:置賜広域行政事務組合事務局

〒992-0012
山形県米沢市
金池三丁目1番55号
取材先:総務課職員数290人

【内訳】
事務局 72人
消防本部 218人

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