地方公務員災害補償基金 Fund For Local Government Enployees' Accident Compensation

MENU
お問い合わせ

Report13 Saga City

安全パトロールで活動を活性化 佐賀市

取り組みのポイント

  • 支部委員会を単位とした構成と50人未満でも委員会設置の安全衛生管理体制
  • 手引書やDVD教材でポイントを確認し効率よく安全パトロール(職場巡視)を実施
  • どんな相談にも応じる「なんでもカウンセリング」を週3回開催し相談支援を充実

佐賀市では、業務の重要性等を勘案し、50人未満の事業場でも必要に応じて安全衛生委員会を設置しています。安全衛生の取り組みは、委員会ごとの活動を基本としていますが、7月から8月にかけて実施される「安全パトロール」は全庁規模の取り組みで、「安パト」と呼ばれ職員に認知されています。こうした「安全パトロール」等により、委員会活動の活性化を図る佐賀市の取り組みを紹介します。

1 支所機能を重視し50人未満でも委員会を設置

佐賀市では、市職員安全衛生規則に基づき、市職員安全衛生委員会と12の支部委員会を設置しています。支部委員会は場所別・職種別を基本として設置された事業場委員会ですが、半分は職員50人未満の小規模な事業場です。

佐賀市安全衛生管理体制

佐賀市安全衛生管理体制

労働安全衛生法令に規定のない50人未満の事業所にも安全衛生委員会を設置する理由について、人事課長の池田 一善氏は「合併に伴い旧町単位に7支所を設置しています。このうち6支所は、法令上の委員会設置要件には該当しない職員50人未満の事業場です。事務職員が中心の職場で作業リスクもさほど高くありませんが、本庁部門と同等の機能を有する重要な出先機関であるため、支所単位で安全衛生を実践することとしています。」と語りました。

支部委員会は他に、本庁、環境部、建設部、教育委員会、病院などに設置されていますが、このうち、環境部安全衛生委員会については、下部組織として「清掃工場労働安全会議」が設けられ、毎月1回の安全衛生会議の開催をはじめ、職場巡視や安全研修等を独自に実施するなど、法令に基づく委員会と同等の活動を実践しています。

池田課長

市の安全衛生管理体制について語る池田課長

一方、市職員安全衛生委員会は、支部委員会の上位機関として設置されています。池田課長は「副市長をトップに、各支部代表者等で構成され、市の安全衛生の責任者が一堂に会する統括組織です。全庁的な安全衛生の取り組みに係る審議や、各支部委員会活動との総合調整が図られています。」とその役割について語りました。市委員会では毎年度、健康管理計画を作成し、各支部委員会がそれに基づいた取り組みを計画的に実践するなど、活動の水平展開が図られ、市全体の安全衛生の向上につながっています。

研修の様子

市委員会による各支部委員会委員等を
対象とした研修の様子

2 毎年恒例の職場巡視「安パト」でリスクを発見

各支部委員会では、7月から8月にかけて、「安全パトロール」と称する大規模な職場巡視を実施しています。参加する委員一人ひとりが適切な巡視を実行できるよう、安全パトロールの意義や危険を発見するための着眼点などをまとめた手引書を作成し、丁寧な巡視を心がけています。

安全パトロールは、各支部委員会とも総括安全衛生管理者が参加して行われます。その目的について、人事課人事係長の川崎 浩氏は「認知度を上げるためにはトップの参加が効果的です。例えば、本庁委員会の場合は総務部長を先頭に安全パトロールを実施していますが、職員の意識も高まり、現状を見直す良いきっかけとなっています。」と語りました。

川崎係長

安全パトロールについて語る川崎係長

安全パトロール当日は、まず、事務局である人事課が手引書を説明します。その後に職場巡視の効果的な進め方を紹介したDVD教材「巡視から『巡思』へ」を視聴し、巡視者全員で巡視のポイント、進め方を共有するなど、その取り組みは徹底しています。

巡視時は全員が腕章を着用し、安全パトロール記録表(チェックリスト)に基づき効率よく職場を回ります。記録表は、執務室内と共用設備ごとに調査事項を整理し、A~Cの評価とその理由を記載する内容で、支部委員会ごとに職場の実情に応じて準用されています。

腕章を着用して安全パトロールを実施

腕章を着用して安全パトロールを実施

巡視結果は、指摘事項・対応・改善結果を整理し、市委員会に報告されるとともに、各支部委員会にも周知されます。その報告書には、指摘事項の一覧とともに、「改善した=◎」、「改善中=○」、「検討中=△」と改善状況が表示されるなど、全員で共有できる分かりやすく明確な内容となっています。また、安全パトロールで「A=特に良好」と評価された事例についても好事例として評価するとともに、他の職場でも応用できるよう積極的に紹介しています。

このように事前準備や事後のフォローアップまで、丁寧な仕組みのもとで実施される市の安全パトロール。職員からは「安パト」とも呼ばれ認知度も高まり、職場環境の着実な改善につながっています。

消火器の表示例

安全パトロールで「A」と評価された事例
消火器の表示が良い

収納されているヘルメット

安全パトロールで「A」と評価された事例
ヘルメットがきちんと収納されている

3 なんでもカウンセリングで相談機能を充実

佐賀市ではメンタルヘルス疾患による30日以上の長期病休者数が増加しているなど、市の安全衛生において、メンタルヘルス対策は最重要の課題となっています。この課題に対処するため、市では平成23年度に策定した「メンタルヘルス対策基本方針」に基づき、階層別研修や相談支援、復職支援等のさまざまな取り組みを実施しています。特に目を引くのが、産業カウンセラーによる相談です。名称は「なんでもカウンセリング」。仕事のこと、家庭のことなど、気になることがあれば、躊躇せずに受けることができるようにという工夫が現れています。実施回数も週3回という充実ぶりで、平成26年度は400件を超える利用がありました。

利用者の中には、人事課がカウンセリングを受けるように指定した職員も含まれています。その理由について保健師で人事課主査の萩原 里美氏は「新規採用職員や新任係長、支所から本庁への異動職員については、不安や緊張などからメンタルヘルス不調に陥りやすい環境にあります。このため、予防的カウンセリングとして、カウンセリングを受けるように指導しています。対象職員全員が指定されるため、周りにも気兼ねすることなくカウンセリングを受けることができます。」と語りました。

萩原主査

なんでもカウンセリングについて語る萩原主査

他にも、市では、「こころの体温計」を使った職員のセルフケアも実施しています。本来は、市民向けに提供している簡易式のストレスチェックですが、これを職員向けに活用し、 気付きを促す取り組みです。また、復職支援としては「試し出勤制度」を設けていますが、 運用にあたっては、職場と連携をとりながら改善を図ったといいます。その結果、近年では、 復職後に再度の休職をとる職員が減少しているなどの効果をあげています。

心の病の増加は全国的な傾向であり、その改善は一朝一夕でできるものではありませんが、 市では基本方針に基づき、一次予防から三次予防までバランスよく対策を講じることにより、 当面する課題解決に取り組んでいます。

アドバイザーより一言

アドバイザー/甲斐氏

安全衛生担当部署は少人数ながら精鋭揃いで、きめ細かな対応を図っています。このことは健康診断の受診率が、ほぼ100%であることが物語っています。

メンタルヘルス対策については、市の基本方針を示し、厚生労働省の指針に基づいた対策が図られていることが評価できます。また、メールによる関連情報の提供、各種相談支援、インターネットを利用した「こころの体温計」等の取り組みを積極的に実施しています。

安全パトロール(職場巡視)については、実施前にDVD「巡視から『巡思』へ」を視聴し、チェックリストによる漏れのない効率的なパトロールを実施しています。「安パト」と親しみをこめて呼称しているのは、安全パトロールが職場に定着していることの現れです。

清掃工場については、場所的観念によって、これを法定の委員会として位置付けることを検討してみてはどうでしょうか。実質的な活動は行われているので、後は若干の規程等の整備で足りると思われます。今後とも、パトロールと安全衛生委員会の更なる活性化が図られることを期待しています。

中央労働災害防止協会 九州安全衛生サービスセンター
安全管理士 甲斐 俊文

この事例のPDFを見る

City profile

佐賀県佐賀市

佐賀県佐賀市位置

  • 面積 431.84km2
  • 人口 235,162人
    (2015.3.31現在)
  • 人口密度 545人 /km2

見どころ

バルーンフェスタ アジア最大規模!
佐賀インターナショナル
バルーンフェスタ
2016佐賀熱気球世界選手権開催!

特産品

佐賀のり 販売枚数日本一!佐賀のり

キャラクター

俵マイちゃん 俵マイちゃん

City office

佐賀市役所

佐賀市役所

〒840-8501
佐賀市栄町1番1号
取材先:人事課

職員数1,814人
【内訳】
一般行政 1,262人
教育 196人
公営企業等 356人
(2015.4.1時点)

ページトップへ