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Report8 Maebashi City

委員会再編を機に安全衛生活動を充実 前橋市

取り組みのポイント

  • 委員会再編に伴い、連絡会議を設置し情報交流・共有など横のつながりを確保
  • 産業医の選任を機に連携を強化し職場巡視等の活動を充実
  • 技能労務職員を対象とした研修を職員課が実施しKYTを促進

前橋市では、清掃事務所、保健所に委員会を新設するとともに、連絡会議を設置し、委員会相互の情報共有、交流に努めています。また、再編に伴う産業医の選任を機に、職場巡視や健康相談など産業医の機能を活用した委員会活動の活性化に取り組んでいます。こうした委員会再編を機に安全衛生活動の充実・強化を図る前橋市の取り組みを紹介します。

1 安全・衛生委員会の再編

前橋市では、市職員労働安全衛生管理規程に基づく市労働安全衛生委員会について、平成26年度に組織再編を行いました。市内2カ所に設置された清掃事務所を統合したことにより、同事務所が職員50人以上の事業場となったため、委員会新設の必要が生じたものです。委員会新設にあたっては、清掃事務所だけでなく、清掃工場など関係事業場を包括した組織とすることが検討されました。職員課課長補佐の阿部 秀明氏は「清掃事務所は収集したごみを市内5カ所の清掃工場に運搬します。各清掃工場は50人未満の事業場ですが、これを清掃事務所と一体的な事業場として捉え、清掃事務所等安全衛生委員会が管轄することとしました。」と経緯について語りました。あわせて、市労働安全衛生委員会の一部会であった保健所にも委員会を設置するなど、事業場ごとにきめ細かな活動ができるよう委員会の再編を図りました。

前橋市安全衛生管理体制

前橋市安全衛生管理体制

また、市では、委員会再編を機に、新たに「安全衛生委員会等連絡会議」を設けました。前橋市労働安全衛生委員会を3委員会に分離したことで、それぞれのつながりが希薄化しないよう、各委員会の代表者等で構成する会議を適宜開催し、安全衛生活動に関する情報や取り組みを共有することが目的です。連絡会議では、各委員会から職場巡視や安全衛生教育の取り組みなどが積極的に報告されています。

再編の効果について、阿部課長補佐は「新設の清掃事務所等委員会、保健所委員会とも活動は活発です。特に清掃事務所は、毎月の委員会開催や職場巡視などに熱心に取り組んでいます。本庁等委員会でもそうした良い事例を取り入れ、活動をもっと充実させよう等の意見がでるなど、委員会全体の活性化につながっています。」と語りました。

清掃事務所の統合から始まった委員会再編の取り組み。市はこれを安全衛生管理体制見直しの好機と捉え、実効性のある組織体制へと改善を図りました。そうした前向きな取り組みが、委員会の活性化等の成果に結びついています。

阿部課長補佐

「組織再編にあたっては労基署にも相談しました」と語る阿部課長補佐

2 産業医を活用し安全衛生活動を活性化

市では、職場ごとのチェックリストを用いた効率的な巡視を毎月実施していますが、そのすべてに産業医が参加しています。産業医を機能的に活用し委員会の活性化を図りたい。こうした市の考えに配慮し、市医師会が安全衛生に理解のある医師を推薦するなど、連携を密にした取り組みが功を奏した事例といえます。産業医の指摘や評価は報告書にまとめられ、委員会で報告されるとともに、産業医が巡視できない職場については別途、委員が巡視を行うなど、委員会ごとに積極的な取り組みが展開されています。

職場巡視の様子 職場巡視の様子

清掃事務所等委員会による清掃工場の職場巡視の様子

このような医師会や産業医との連携は、委員会再編に伴う産業医の選任を機に、強化されました。例えば、保健所委員会では、産業医による全職員面談を実施していますが、これは、全職員と話す機会を設けたいという産業医の発案で始まった取り組みです。

また、職員課が所管する各種相談支援等でも産業医との連携は欠かせません。職員課給与厚生係主任保健師の野本 涼子氏は「経験豊富な保健師を職員相談の窓口であるメンタルヘルス相談員とするなど、支援体制を強化し、不調者の発症予防、早期発見等に努めています。また、産業医が積極的に関与してくれるので、職員への支援が行いやすくなったと感じています。」と連携の効果を語りました。このように、市では、産業医の役割、機能を重視し、適切に連携をとることにより、安全衛生委員会の活動促進や質の向上を図っています。

野本主任保健師

「産業医が関わることで、より内容の濃い活動になっています」
と語る野本主任保健師

3 公務災害防止対策としてKYTを促進

地方公共団体では、清掃工場のような作業現場を抱える事業場で、KYT(危険予知訓練)やヒヤリハット等の取り組みが実践されていますが、前橋市では、職員課が中心となって、研修を通じたKYTの普及啓発を行っています。KYT研修は技能労務職員を対象に行われます。内容は、KYTの目的や手法等の解説とともに、前年度に起きた災害事例を写真やイラストで見せながら、どこに危険があるのか、どのような行動をとればよいのかなどを考えるものですが、その講師を職員課給与厚生担当の職員が務めます。阿部課長補佐はこう語ります。「KYTは公務災害防止対策として有効ですが、職場で自然発生的に行われるわけではありません。このため、職員課が音頭をとって、KYTの取り組みを促しています。危険予知能力を高めることで防げる災害がある、そうしたことをしっかりと伝えていきたいです。」 

また、市はKYT指導者を養成するための外部講習会へも職員を積極的に参加させています。職員課給与厚生係主任の小泉 祐樹氏は「公務災害が多発していたため、本庁等委員会の中で、未然防止の取り組みが必要ではないかという意見がありました。このため、KYT講習会参加費用を予算化し、毎年度6人程度の職員を参加させています。」と経緯を語りました。

小泉主任

「経験年数や職位等を踏まえ受講職員を決定しています」と語る小泉主任

平成26年度に教育委員会部会が開催した研修会では、指導者養成講習会を受講した職員を講師に起用し、学校給食調理員等がKYTの基礎について学びました。職員課が積極的にKYTの促進を図ったことにより、この取り組みは徐々に浸透しています。今後の展開について、阿部課長補佐はこう語りました。「研修を通じて危険に対する意識を持つ職員が増えれば、職場全体の意識も向上します。今後も粘り強く続けていきます。」

アドバイザーより一言

アドバイザー/須田氏

再編を機に、安全衛生活動が活性化されました。特徴的な取り組みとしては、市医師会の協力を得て産業医を充分に活用している点が挙げられます。また、3委員会の代表者による連絡会議を行うことで、本庁等の衛生委員会にとっても良い刺激となっており、今後さらに全体の安全衛生管理水準の向上が期待できます。

職場巡視については、各委員会・部会単位で実施されています。事前に巡視先の職種ごとにチェックリストを作成し、各職場の課題に対して効率的に巡視が行えるように工夫をされています。

安全衛生教育については、階層別の研修会が実施されています。特に、技能労務職員を対象に行うKYT研修では、職員が研修の講師まで担っています。この点は、安全衛生活動がかなり進んでいる製造業の事業場にも匹敵する管理レベルにあると言えます。

一方、ヒヤリハット報告については、活動がやや形骸化しているようです。潜在的なリスクはまだ存在していると考えられます。今後、改めてヒヤリハット報告の運営方法を見直し、災害を未然に防ぐための有効な活動にしてください。

中央労働災害防止協会 関東安全衛生サービスセンター
安全・衛生管理士 須田 核太郎

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City profile

群馬県前橋市

群馬県前橋市位置

  • 面積 311.59km2
  • 人口 339,491人
    (2015.4.1現在)
  • 人口密度 1,090人 /km2

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(写真は赤城山覚満淵)

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取材先:職員課

職員数2,638人
【内訳】
一般行政 1,556人
教育 414人
消防 401人
公営企業等 267人
(2015.4.1時点)

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