地方公務員災害補償基金 Fund For Local Government Enployees' Accident Compensation

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さらに前進する安全衛生の取り組み 郡山市

取り組みのポイント

  • 月1回安全衛生委員会を開催して委員会を活性化し、庁議で全庁的な情報共有を図る
  • 専門家の意見を活用した研修資料の配付や安全衛生旗の掲揚により公務災害防止を促進
  • 労働安全衛生法の改正を先取りする年3回のメンタルヘルス自己診断を実施

東日本大震災をのり越え、震災前以上に安全で安心な街づくりが進む郡山市では、安全衛生委員会の月1回の開催等法令順守を進めるほか、労働安全衛生法の改正に先んじて、臨時職員含む全職員に年3回のメンタルヘルス自己診断を実施しています。こうした一層の前進を続ける郡山市の取り組みを紹介します。

1 月1回の安全衛生委員会の開催等により委員会を活性化

市長部局のほぼ全ての所属が属する市職員安全衛生委員会は、これまで年数回の開催でした。しかし、平成26年度からは毎月1回委員会を開催しています。その経緯について、職員厚生課福利厚生係長の吉田 頼子氏は「これまで復旧・復興に取り組む中で、頑張っている職員の声を聴く機会をきちんと設けなければいけないと考えて、月1回開催するようにしました。」と語りました。月1回の開催は労働安全衛生法令どおりではありますが、震災以後に負荷が増えた職員の安全衛生を、市はしっかり守ろうと法令順守を進めたのです。

吉田係長

月1回の委員会開催等を熱意を持って進める吉田係長

月1回の開催により、健康診断の状況等タイムリーな議事が審議されることで、委員会も活性化しています。職員厚生課主査の本田 大介氏は「以前は正直なところ、意見を言う委員が固定化していた面もありました。しかし、今では職員側、市側の委員双方から多くの意見が出されています。」と活性化の様子を語りました。 

さらに市では、機動的に活動できるよう市側の委員を部長級から次長級に変更する見直しを行いました。あわせて、市長、副市長及び部長級職員が出席して開かれる庁議において、委員会資料を配付し、総括安全衛生管理者である総務部長から議事内容の報告を行い、全庁的な情報共有を図っています。

本田主査

委員会の活発な審議の様子を語る本田主査

職員厚生課主査の古川 智志氏

公務災害の未然防止に取り組む職員厚生課主査の古川 智志氏

2 専門家の意見を活用した研修資料の配付等により公務災害防止を促進

全国の地方公共団体において学校給食調理や清掃等の現場業務は、一般事務と比して公務災害の発生が多い状況(※)にあります。

※「公務災害の現況」((一財)地方公務員安全衛生推進協会、平成26年3月発刊)では、清掃業務員は第1位、調理員は第3位の公務災害認定状況(職種別千人率での比較)となっています。

このため、どの地方公共団体の事業場や主管課でも、さまざまな公務災害の防止活動を行っていますが、市では職員厚生課が積極的に主管課等と連携して、公務災害防止に取り組んでいます。調理員の研修会では、発生した公務災害に地方公務員災害補償基金の「参考にしたい職場環境改善アドバイザー アドバイス集(学校給食事業編)」(平成26年2月発行)の改善提案事例を対照させた資料を職員厚生課が作成して、研修資料の一つとして配付し、主管課等とともに公務災害事例と再発防止対策の啓発を図っています。

アドバイス集を活用した研修資料(抜粋)

アドバイス集を活用した研修資料

また、全庁的な安全衛生に対する意識の向上を図るために、平成26年度から本庁舎には安全衛生旗が毎日掲揚されています。これは、現市長の「市は行政サービスを生み出す製造業である。」との考えに基づくものですが、ほとんどの地方公共団体には見られない安全衛生重視を象徴する先進的な取り組みです。

安全衛生旗

本庁舎に市旗、国旗とともに常時掲揚されている安全衛生旗

3 法改正を先取りする年3回のメンタルヘルス自己診断

約4年前に発生した東日本大震災は、関係地域の地方公共団体に多大な業務量の増加をもたらしました。市民の安全・安心確保に全力で努める市の職員にも、大きな負荷がかかりました。そこで、市では職員のメンタルヘルスを守るために、改正労働安全衛生法によるストレスチェックを上回る、臨時職員を含む全職員に対する年3回のメンタルヘルス自己診断を平成24年度から実施しています。

メンタルヘルス自己診断実施フロー

メンタルヘルス自己診断実施フロー

※①はうつ(うつ性自己評価尺度)検査50点以下でも面談該当者
②は点数にかかわらず面談希望者

保健師で職員厚生課主任技査の鈴木 玲子氏は「職員が全力で復旧・復興に取り組む中で、職員のメンタルヘルスを守らなければと思い、平成24年度から係員総出で年3回の自己診断を実施しました。平成25年度には不調者をしっかりフォローしようと、精神科医の助言も受けながらうつ検査を導入しました。」と、震災のすぐ後にメンタルヘルス自己診断を始めた経緯を語りました。

鈴木主任技査と職員厚生課技査の武藤 五月氏

職員の心身の健康向上に奮闘する鈴木主任技査と職員厚生課技査の武藤 五月氏

メンタルヘルス対策等の強化に伴い、平成25年度から職員厚生課(当時は職員課)の保健師が1名増員されて、正規の保健師は2名となり、健康管理スタッフの強化が図られました。また、人事と安全衛生を所管していた職員課は、平成26年度から人事課と安全衛生を専担する職員厚生課に分けられ、安全衛生活動の強化とともに、不調者の対応に人事担当がかかわらない組織作りが行われました。さらに「心の健康づくり計画」も策定され、計画に基づきメンタルヘルス対策がより体系的に進められています。

今後は、市のメンタルヘルス自己診断を、改正法の仕組みにどう合わせていくかが課題となります。職員厚生課長の朝倉 陽一氏は「職員の同意や管理監督者の関わり方など、市の取り組みと改正法に基づくストレスチェックとをすり合せていくことになりますが、より一層職員の心身の健康が守られるように取り組みたいです。」と、しっかりと安全衛生を進める考えを語りました。

朝倉課長

さらなる安全衛生の向上への強い気持ちを語る朝倉課長

アドバイザーより一言

アドバイザー/阿部氏

労働安全衛生法令に沿って毎月1回安全衛生委員会を開催し、毎月の主要な審議事項を定めて委員同士の質疑応答が活発に行われており、良好な委員会活動が行われています。また、通年の安全衛生旗掲揚等で職場の安全衛生意識の高揚を図り、「職場環境改善アドバイザー派遣事業」を活用した専門家による安全衛生診断を実施し、職場環境改善に取り組んでいます。

メンタルヘルス対策では、年3回のメンタルヘルス自己診断が実施され、その結果に対しては職員厚生課による保健指導や精神科医等の面談等のフォローアップ体制が構築されていることは良いことです。

今後は、労働安全衛生法に定められた職場巡視の実施や新たに就任する安全衛生委員会委員への安全衛生教育の実施、発生した公務災害に対する人・物・管理の面からの要因の洗い出しと、委員会での防止対策の審議及び対策の展開等に取り組まれることをお勧めします。

中央労働災害防止協会 東北安全衛生サービスセンター
安全管理士 阿部 美明

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City profile

福島県郡山市

郡山市位置

  • 面積 757.06km2
  • 人口 329,173人
    (2014.11.1現在)
  • 人口密度 435人 /km2

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福島県郡山市
朝日1-23-7
取材先:職員厚生課

職員数3,950人
【内訳】
一般行政 1,510人
教育 259人
公営企業等 273人
(2014.4.1時点)

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