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話し合いの場を推進して安全衛生を前進 茨木市

取り組みのポイント

  • 臨時職員等も対象とする職種別の事業場委員会の設置等労働安全衛生法に沿う体制を整備
  • ヒヤリハット事例集の作成や委員会内の全職員へのアンケート実施等による公務災害の防止
  • 新規採用職員等へのカウンセリング体験や、指導育成制度による新規採用職員の育成

茨木市は、臨時職員・非常勤嘱託員も市の安全衛生管理規則の対象とし、全ての職員が職種別の事業場安全衛生委員会に属するなど労働安全衛生法に沿う体制を整備しています。 各事業場委員会では、ヒヤリハット事例集の作成や委員会内全職員へのアンケートの実施と活用等により公務災害の防止に取り組んでいます。また、新規採用職員や新任係長へのカウンセリング体験の実施や指導育成制度による新規採用職員の支援により、負荷の高い職員をサポートしています。こうした職員の話し合いの場を推進して安全衛生を前進させる茨木市の取り組みを紹介します。

1 職種別の事業場委員会設置等労働安全衛生法に沿った体制整備

市では平成10年度から職種別を基本とする事業場安全衛生委員会の新設を進め、現在は職種ごとに事業場委員会を置く方針のもと、50人未満でも事業場委員会を組織し8つの事業場委員会を設置しています。さらに、平成21年度には市職員安全衛生委員会を設置し、総括的な重要事項を審議調査するとともに各委員会の情報共有を図っています。

茨木市安全衛生管理体制

茨木市安全衛生管理体制

平成25年度には市職員安全衛生管理規則を改正して、それまで除かれていた臨時職員や非常勤嘱託員も同規則の対象とし、全ての職員がいずれかの事業場委員会に属する体制を整えました。臨時職員等も含めたことについて、元人事課(現監査委員事務局参事)で衛生管理者の西川 裕二氏は「職員数に占める臨時職員等の割合が増えている現状がありますので、職場全体の安全衛生を考えるためには臨時職員等も含める必要がありますし、そもそも労働安全衛生法の対象は全ての労働者ですから排除することはありません。」と経緯を語りました。  

また、市では事業場委員会に属する10人以上50人未満の出先機関全てに労働安全衛生法に定める安全衛生推進者を置いています。人事課厚生係に保健師として初めて配置された名越 琴恵氏は「本庁事業場、こども育成部事業場、教育委員会事業場、消防本部事業場及び水道部事業場は主管課と出先機関の集合体です。そこで、各出先機関でもしっかり安全衛生活動に取り組んでもらうために、講習を受けた推進者を配置しています。」と意義を語りました。

西川参事

衛生管理者として事業場委員会の
整備を推進した西川参事

名越氏

委員会運営から健康管理まで幅広い職務に
意欲的に取り組む名越氏

さらに、各出先機関には選任した安全衛生推進者を職場に掲示するよう通知で促しています。労働安全衛生規則では安全衛生推進者等の掲示等による氏名の周知が規定されていますが、未掲示の地方公共団体が見られるなかで、市では掲示例を示して推進者の職務と氏名の周知の徹底を図っています。

事業場における安全衛生推進者の掲示例

事業場における安全衛生推進者の掲示例

2 ヒヤリハット事例集作成や職員アンケート実施による公務災害の防止

総括的機能を有する市職員委員会及びその他事業場委員会の事務局を務める人事課では、 職場巡視のためのチェックリストのひな型を示して、各事業場委員会が事業場の特性に応じた項目を加えて巡視を実施しているほか、さまざまな公務災害防止の取り組みが行われています。地域の工事センター、教育委員会及び水道部の3つの事業場委員会では、一層の公務災害の未然防止を図るため、ヒヤリハット事例を募集し取りまとめて委員会に属する各所属に冊子等を配付して周知しています。  

また、こども育成部事業場委員会では、属する職員全てを対象にした職員アンケートを実施して委員会での検討資料として活用し、職場環境の改善や安全衛生面の向上を図っています。なお、このアンケートは共通様式に保育所や幼稚園、学童保育など施設ごとの安全衛生に係る項目が加えられており、きめ細かな意見を聴く工夫がなされています。  

こうした各事業場委員会のさまざまな取り組みにより、市の公務災害件数(通勤災害は除く)は平成22年度をピークに低減傾向が続き、平成25年度の件数は平成22年度に比べて4割弱減少しています。

3 メンタルヘルスを身近にするカウンセリング体験等の取り組み

市ではメンタルヘルス研修や外部の産業カウンセラーによるメンタルヘルス相談の実施など、メンタルヘルス対策に取り組んできましたが、職員の心身の健康管理を強化するために平成22年度に人事課に初めて保健師を配置しました。その経緯について人事課長の下薗 真一郎氏は「当市は近隣の地方公共団体に比べて人口に対する職員比率が低く、業務の密度も高まっていました。そこで、職員の健康指導や復職支援の一層の強化を図るために、専門知識のある保健師を人事課に配置することとしました。」と語りました。

下薗課長

先を見据えて市の安全衛生を先導する下薗課長

阿曽 幹子氏

幅広い業務に丁寧に取り組む
人事課厚生係長の阿曽 幹子氏

その後、平成23年度から心の健康相談の回数の増加等相談体制の充実を図る中で、メンタルヘルス相談での新規採用職員及び新任係長に対するカンウセリング体験を実施しています。その目的について名越氏は「新規採用職員は苦しいときでも自分からは言いにくい状況にありますので、まずは相談できる場があることを知ってもらう必要があると思いました。新任係長も負荷が増えますので自身のメンタルヘルスのケアと、自分が受けることで部下にも勧めやすくなると考えました。」と語りました。ほとんどの新規採用職員と新任係長がカンウセリング体験を受けており、特に負荷のかかる職員へのメンタルヘルス不調の早期発見・早期対応を図っています。  

また、同年度には長期療養職員の職場復帰支援制度事務処理要領を策定して、職員の職場復帰に本腰を入れて取り組んでいます。そして、併せて作成した職場復帰支援制度の手引きには、管理監督者や本人向けのページに加えて主治医向けのページが設けられており、手引きは主治医にも配付されています。こうして復帰プログラムに主治医を組み込むことで、主治医が療養者に試し出勤を勧める等連携強化が図られ、円滑な職場復帰が促進されています。

4 指導育成制度による新規採用職員の育成

市では平成19年度から新規採用職員の育成を効果的に推進するため、新規採用職員指導育成制度を実施しています。人事課課長代理兼研修係長の岩崎 友昭氏は「採用1年目が能力開発に重要な時期なので、それを支援するためにスタートしました。1年間通じて指導・育成を行いますが、最初の3か月は重点育成期間として月2回の指導育成日誌での意見交換等を通じて、指導担当者と新規採用職員が共有した目標に向かって集中的に取り組みます。」と概要を語りました。

岩崎課長代理と川嶋氏

指導育成制度に精力的に取り組む岩崎課長代理と川嶋氏

この制度の目的は新規採用職員の能力開発が主眼ですが、人事課研修係の川嶋 俊貴氏が「新規採用職員からは先輩職員が指導育成担当者として付いてくれるので色々な相談がしやすいし、まだ何も分からない中でそういう人が身近にいるのは心強いと聞いています。」と語るように、制度の取り組みは副次的に新規採用職員の心のケアにもつながっています。

アドバイザーより一言

アドバイザー/吉村 由紀夫

市職員安全衛生委員会の議事録は審議内容を詳細に記録し、その要約版を全職員に公開することで、全庁的な啓発と情報共有につながっています。特に産業医の健康診断結果に対する意見は、職員の健康管理に有益な情報源となっています。また、ヒヤリハット事例集の事例数が多く、職場全体でヒヤリハット活動が活発に行われていることが伺え、イラストを作成している委員会もあり、リスクの見える化を図っていることは労働災害防止対策として良好な取り組みです。

メンタルヘルス対策では、職場復帰支援制度の手引きで本人、主治医、職場等の対応手順を分かりやすく示しており、職場全体の理解が図られ復帰支援が円滑に進むものと思われます。産業カウンセラーによる心の健康相談は、全ての職員が気軽に利用できる呼びかけが実施されています。

今後は、ヒヤリハット事例を活用し、職員採用時や作業内容の変更時に当該業務に関する安全・衛生教育を行うことをお勧めします。

中央労働災害防止協会 近畿安全衛生サービスセンター
安全・衛生管理士 吉村 由紀夫

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City profile

大阪府茨木市

大阪府茨木市

  • 面積 76.52km2
  • 人口 278,761人
    (2014.10.31現在)
  • 人口密度 3,643人 /km2

見どころ

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取材先:人事課

職員数1,571人
【内訳】
一般行政 952人
教育 242人
消防 242人
公営企業等 135人
(2014.4.1時点)

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