地方公務員災害補償基金 Fund For Local Government Enployees' Accident Compensation

MENU
お問い合わせ

Report13 Hiratsuka City

多角的な仕組みで安全衛生を推進 平塚市

取り組みのポイント

  • 事業場委員会の上下にも組織する多層的な管理体制や産業医による月1回の職場巡視
  • 4段階の採点基準を設け長時間労働や挨拶の状況も評価する職場巡視を実施
  • 全職員への面談とメンタルヘルスチェックの実施やサポート職員による新規採用職員の育成

平塚市は各事業場安全衛生委員会の総括的機関として安全衛生審議会を設置しているほか、全所属に職場の安全衛生活動を担う独自の安全衛生推進者を置いています。この推進者が毎年度、自らの所属の職場巡視を行っていますが、4段階の採点基準を設け公平・適正な評価に努めるとともに、長時間労働や挨拶の状況も評価しています。さらに、定期健康診断時の職員全員への面談に加えて、全職員にメンタルヘルスチェックも実施しています。また、新規採用職員にはサポート職員がついて、業務はもとより社会人のマナー等の育成も図っています。こうした多角的な仕組みで安全衛生を推進する平塚市の取り組みを紹介します。

1 多層的な安全衛生管理体制や産業医の月1回の巡視

平塚市職員安全衛生管理規程では、職種別を基本とする6つの事業場安全衛生委員会と、各委員会の相互調整及び全庁的な重要事項を審議するために安全衛生審議会の設置を規定しています。

平塚市安全衛生管理体制

平塚市安全衛生管理体制

職員課給与福利担当長課長代理の篠崎 光徳氏は「各事業場委員会の総括者を集めて、公務災害やメンタルヘルスの状況について情報共有をしています。特にメンタルヘルスチェックは全職員を対象に実施していますので、審議会で全庁的な共有を図っています。」と情報共有の現状について語りました。

また、管理規程では各事業場委員会が必要と認めるときは、委員会の下部組織として部会の設置を定めており、専門的な課題について迅速に審議できる体制を整えています。さらに、全課所には安全・衛生管理者の業務を補助する市独自の安全衛生推進者1名を置いて、職場セルフチェックの実施など職場単位で安全衛生の向上を図っています。  

こうした多層的な管理体制のもと、危険・有害業務のある市民病院安全衛生委員会や教育委員会安全衛生委員会等は労働安全衛生法どおりの毎月1回の委員会開催や月1回の産業医の職場巡視等を実施しています。これら公務災害の未然防止等の取り組みにより、平成25年度の市全体の公務・通勤災害の休業者数は平成22年度の4分の1以下に減少しています。

篠崎課長代理

「市独自の安全衛生推進者の活動は大きいです」と語る篠崎課長代理

2 4段階の採点基準を設けて評価する職場巡視

市長部局の事務職の課所で組織されるその他事業場委員会では、平成14年度から毎年度、市独自の安全衛生推進者が4Sに長時間労働や挨拶も加えた20項目を確認する職場巡視を行ってきましたが、平成24年度から誰が行っても適切で公平なチェックができるよう、4段階の具体的な採点基準を示したチェックリストにより職場巡視を実施しています。

職場巡視チェックリスト点検項目・採点基準(抜粋)

職場巡視チェックリスト点検項目・採点基準(抜粋)

また、それまでは他の所属の安全衛生推進者が職場巡視を実施していましたが、自らの所属を巡視するよう改められました。巡視実施者の変更について篠崎課長代理は「各課所の安全衛生推進者には若い職員もいますので、他の所属を厳しくチェックするには心理的な負担感の大きいときがあります。また、改善点を自ら自覚して改善に取り組んでもらうために、自分の所属をチェックしてもらうことにしました。」と趣旨を語りました。  

そして、巡視結果は推進者が所属内に周知して改善を図るとともに、各所属の結果は一覧表に取りまとめて委員会で審議され、各所属のレイアウト見直しの参考として活用されるなど5S等の向上に活用されています。

3 全職員への面談及びメンタルヘルスチェックの実施

市は、平成元年度から職員の定期健康診断受診時に保健師が全員との面談を実施して、ハイリスク者の把握に努めています。その経緯について、職員課(健康相談室)課長代理で保健師の萩尾 みゆき氏は「定期健康診断で要医療以上の職員には、保健指導の通知をしていましたが応答が低い実態がありましたし、診断結果配付時の面談は職員数の多さから内部スタッフで対応するのは不可能でした。そこで、委託医療機関の協力も得ることで、診断受診時に職員全員との面談を行うようにしました。」と語りました。

萩尾課長代理

「ハイリスク者にはしっかり保健指導していきたいと考えています」と語る萩尾課長代理

面談は事前に配付した健康相談票により、萩尾課長代理と委託医療機関の保健師数名で行われ、ここ1~2か月の身体や精神状態、前年度の健康診断後の健康状態について聴き取りが行われます。そして、面談と前年度・当年度の健康診断の結果からハイリスク者が絞り込まれて、当該者には個別連絡等による効果的な保健指導が行われています。  

また、全国的な傾向と同様に、市でもメンタルヘルス不調による休業者が増加傾向にありました。そこで、平成19年度から労働安全衛生法の改正に先駆け、市の予算で職員全員へのメンタルヘルスセルフチェックと組織分析を実施しています。そして、チェック実施前には新規採用職員及び新任管理職等へのメンタルヘルス研修を、実施後には組織分析をもとにした管理職向けラインケア研修を開催し、効果的なメンタルヘルスへの理解促進を図っています。  

これらの取り組みにより、市の平成18年度からのメンタルヘルス不調による1か月以上の休業者は、平成23年度のピーク時から平成25年度は半数以下に減少しています。

4 新採用職員サポート制度による育成

市では平成3年度から新規採用職員をサポートする専任の職員を設定し、サポート職員を中心に職場全体で新規採用職員の育成に取り組んでいます。  

4月に開催される新採用職員・サポート職員合同研修では、2人が話し合いながら目標と指導方法等を記載した育成プランを作成し、目標等の共有を図ります。その後、6か月間は目標達成度の確認と評価等を毎月行って、新規採用職員の効果的・計画的な育成が図られています。  

なお、サポート職員は原則として採用5年以上の職員から所属長が指名しますが、管理職でない相応の経験を積んだ職員によるサポートは、業務の習得とともに社会人のマナーや市職員としての基本的なルールも含めた包括的な育成が図られ、新規採用職員の心の安心にもつながっています。

実施スケジュール

実施スケジュール

アドバイザーより一言

アドバイザー/芳賀 伸之

市では職種別の事業場委員会の設置など、実際の管理体制に沿った安全衛生管理体制を整備しています。また、法定の安全・衛生管理者に加えてその実務を補佐する市独自の安全衛生推進者を指定しており、これらの体制整備により安全衛生管理のスムーズな実施が期待できます。産業医が委員会には必ず出席しているほか、職場巡視をほぼ毎月実施しているのは良好な取り組みです。なお、産業医の巡視には職員課の保健師も同行して各職場とコミュニケーションを密にしており、メンタルヘルス不調の早期発見にもつながっています。

さらに、職場巡視は20の点検項目と各着眼点、4段階の判定基準が具体的に記載されたチェックリストで行われており、点検項目ごとの望ましい状態が誰でも分かるように工夫されています。

平成25年度の休業を伴う公務・通勤災害発生件数は、5年前の約4分の1になっています。今後は災害発生率の減少に効果があった取り組みの検証と継続により、さらに公務災害の発生するおそれが少ない職場、職員が安心して働くことのできる職場を実現してください。

中央労働災害防止協会 関東安全衛生サービスセンター
安全管理士 芳賀 伸之

この事例のPDFを見る

City profile

神奈川県平塚市

神奈川県平塚市

  • 面積 67.88km2
  • 人口 257,068人
    (2014.11.1現在)
  • 人口密度 3,787人 /km2

見どころ

湘南ひらつか七夕まつり 湘南ひらつか七夕まつり

特産品

湘南ひらつか名産品 湘南ひらつか名産品

観光

平塚市の観光情報 平塚市の観光情報

City office

平塚市役所

平塚市役所

〒254-8686
神奈川県平塚市
浅間町9-1
取材先:職員課

職員数2,345人
【内訳】
一般行政 1,099人
教育 280人
消防 264人
公営企業等 702人
(2014.4.1時点)

ページトップへ