地方公務員災害補償基金 Fund For Local Government Enployees' Accident Compensation

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Report10 Toyonaka City

横の連携を強化して安全衛生を向上 豊中市

取り組みのポイント

  • 中央安全衛生委員会等により各事業場安全衛生委員会活動の統一や情報共有を推進
  • 公務災害は全て所属長から事業場安全衛生委員会委員長あてに報告され、委員長は防止対策を決定し所属長に通知
  • 復職支援相談員の配置や復職支援チームの設置等によりメンタルヘルス対策を強化

豊中市は、事業場安全衛生委員会の相互の連絡及び調整を図る中央安全衛生委員会の開催等、連携組織を活用した取り組みを展開しています。メンタルヘルス対策においても、復職支援チームを設けて復職前後の支援を行うなど、横の連携を強化して安全衛生の向上を図る豊中市の取り組みを紹介します。

1 中央安全衛生委員会等による各事業場安全衛生委員会活動の統一・情報共有の推進

豊中市には、各安全衛生管理規則等により全部で22の事業場安全衛生委員会が設置されています。各委員会は部局別を基本とし、50人以上の事業場で委員会を組織する等、労働安全衛生法令に沿った体制が整備されています。さらに、各委員会がそれぞれ安全衛生活動に取り組む中で、市は「中央安全衛生委員会」を設置・運営し、各事業場安全衛生委員会の活動の統一・情報共有を図っています。

人材育成センター職員課安全衛生・厚生係長の山森 栄一氏はこう語ります。「各安全衛生管理規則等とは別に『豊中市中央安全衛生委員会設置規則』を定めて、中央安全衛生委員会を設置しています。事業場委員会が22ありますので、方針等を示すことで市として安全衛生活動の統一を図っています。中央安全衛生委員会は連絡調整機関ですので、各事業場委員会の審議事項について決定することはありませんが、各事業場委員会に一定方向の道筋を示す役割を果たしています。」

山森係長

「中央安全衛生委員会が各事業場委員会の
リーダーシップを取っています」と山森係長

田中氏

「各事業場委員会の活動も熱心です」と語る
職員課安全衛生・厚生係主査の田中 章夫氏

豊中市安全衛生管理体制

豊中市安全衛生管理体制

ところで、各地方公共団体において、地方公営企業法を全部適用した病院事業は、市長部局の安全衛生から独立しますが、平成23年度から地方公営企業法を全部適用した市立豊中病院は、公営企業の上下水道局及び一部事務組合のクリーンランドとともに安全衛生管理体制を構成し、各事業場委員会との連携を継続しています。

また、各事業場委員会のうち20の委員会が、ほぼ月1回委員会を開催しています。山森係長は「本庁事業場安全衛生委員会では、平成24年度から毎月25日を委員会の日として開催を認識してもらっています。また、委員長が会議の終わりに次回開催日を調整して、さらに出席率を上げています。」と月1回開催の取り組みを語りました。

その他、同じ部局の中に複数の事業場委員会がある場合は、総括安全衛生委員会を設けて部局内の統一・情報共有も図っています。さらに、各事業場委員会の事務局で情報共有を図るため「事業場安全衛生委員会事務局会議」が、各事業場の衛生管理者の資質向上・活性化を図るため「衛生管理者会議」が開催されています。

市では、このような各委員会等の連携を強化する取り組みで、管理体制の総合的かつ有機的な運営を図っています。

2 事業場安全衛生委員会委員長から所属長に対して災害防止対策を通知

労働安全衛生法では、安全・衛生委員会の審議事項の一つに、公務災害の原因及び再発防止対策が規定されています。しかし、公務災害について委員会で十分な審議が行われていない場合が見られます。このような中、豊中市では公務災害の防止を図るため、平成19年度から災害が発生した場合に、被災職員の所属長は「災害再発防止対策報告書」を作成して当該事業場安全衛生委員会委員長に提出し、委員会での審議を経て、委員長は所属長に対して再発防止対策を決定し通知する取り組みを行っています。

山森係長は「平成18年度に公務災害の分析をしたところ、類似災害の発生が半数程度を占めていることが分かりました。そこで、各事業場委員会で災害防止にしっかり取り組んでもらうことが災害の減少につながると考え、公務災害の報告書を委員長に提出し、各委員会で審議してもらう仕組みを作りました。」と経緯を語りました。この取り組みもあり、平成24年度の市の公務災害(常勤職員)件数は、過去5年間で最も少なくなっています。

災害再発防止対策報告書・決定通知書の概要

災害再発防止対策報告書・決定通知書の概要

3 復職支援チームの設置等によりメンタルヘルス対策を強化

全国的に地方公務員のメンタルヘルス不調による長期病休者は増加傾向にありますが、豊中市でも同様の傾向でした。そうした中、市は国の動向も踏まえて、平成15年度から単月80時間超え又は6か月平均45時間超えの時間外勤務を行った職員の所属長全員に対する産業医面談を実施しています。主任産業医の前田 尚徳氏は「この面談は強制ですから、所属長には呼び出しそのものがプレッシャーになって、時間外の分散化が図られています。」とその効果を語りました。また、単月80時間超え又は6か月平均45時間超えの時間外勤務を行った職員は、原則として全員、産業医面談を受けることとしています。こうした労働安全衛生法令を上回る産業医面談の義務付けにより、過重労働に起因する健康障害の防止に取り組んでいます。

一方、市では平成18年度に策定した「豊中市心の健康づくり基本計画」に基づき、メンタルヘルス不調による休業者の円滑な職場復帰と不調の再発防止を図るため、平成21年度から復職支援相談員を配置する等、復職支援制度の充実を図っています。平成23年度には、1か月以上の休業者に対して、健康管理スタッフや所属長等が連携する復職支援チームの発足により、復職前後の支援を行っています。また、平成24年度には本人と管理監督者用に復職支援制度をまとめた「復職支援の手引き」を作成・配付しました。

その他、市の全衛生管理者を対象とする「衛生管理者会議」では、復職後支援プログラムの作成や健康管理スタッフと各職員をつなぐ役割を担うための研修が行われるなど、豊中市ではさまざまな横の連携強化を図ることで、安全衛生の向上に取り組んでいます。

前田先生

全所属長との面談を実施している主任産業医の前田先生

高田氏

職員課でただ一人の常勤保健師として奮闘する高田 靖子氏

復職支援に係る取り組み

年度 取り組み 概 要
平成21年度 復職支援相談員配置 専門的な立場からのアドバイスにより職員等を支援
平成23年度 復職支援チーム発足 健康管理スタッフや所属長等が連携したチームにより職員等を支援
平成24年度 「復職支援の手引き」作成 管理監督者及び本人用を作成・配付し、制度を周知徹底

アドバイザーより一言

アドバイザー/上月氏

中央安全衛生委員会と各事業場安全衛生委員会が有機的に連携して、年間安全衛生計画の策定、活動の評価・改善等に取り組み安全衛生を推進しています。また類似災害の防止を図るため、全ての公務災害について、各事業場委員会での再発防止対策や措置後の状況報告を行う仕組みを整備したことは良い取り組みです。

長時間労働による健康障害の防止は、対象職員の全員に対する所属長を通じた呼び出しが徹底され、医師等による面接指導を確実に実施しています。また心身両面の健康づくりについては、保健スタッフによる健康相談窓口の整備に務め、ここ5年間で利用者を倍増させています。さらに心の健康づくり計画に基づき、職場復帰支援体制の整備、セルフケア及びラインケアの教育実施に積極的に取り組んでいます。

今後とも、管理監督者及び各スタッフが一体となって安全衛生活動を展開されることを期待します。

中央労働災害防止協会 近畿安全衛生サービスセンター
安全管理士 上月 眞史

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City profile

大阪府豊中市

豊中市位置

  • 面積 36.6km2
  • 人口 400,051人
    (2015.3.31現在)
  • 人口密度 10,930人 /km2

見どころ

高校野球メモリアルパーク 高校野球メモリアルパーク 大阪国際空港 大阪国際空港

キャラクター

マチカネくん マチカネくん

City office

豊中市役所

豊中市役所

〒561-8501
大阪府豊中市
中桜塚3-1-1
取材先:職員課

職員数3,665人
【内訳】
一般行政 1,766人
教育 373人
消防 381人
公営企業等 1,145人
(2013.4.1総務省調査)

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