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Report14 Toyohashi City

縦横の組織を活用した安全衛生の取り組み 豊橋市

取り組みのポイント

  • 市の安全衛生管理規程を順守し、11ある全ての安全衛生委員会が月1回開催
  • 中央安全衛生委員会を開催し、各安全衛生委員会の活動の統一とレベルアップを図る
  • 交通事故削減を図るため市独自の交通事故防止マニュアルを作成

豊橋市は、市の安全衛生管理規程に安全衛生委員会の月1回開催を定め、11ある全ての委員会が毎月1回開催しています。また、この規程には各委員会を統括する中央安全衛生委員会の設置も定められており、中央委員会が決定した方針に沿って、各委員会が工夫した取り組みを展開しています。こうした縦横の組織を管理規程に定めて、各組織が展開する活動により、安全衛生の向上を図る豊橋市の取り組みを紹介します。

1 市の安全衛生管理規程を順守し全ての委員会が月1回開催

豊橋市は「豊橋市職員安全衛生管理規程」に基づき11の安全衛生委員会を設置しています。この管理規程には委員会の月1回開催が規定されており、昭和61年度の規程施行時から全ての委員会が毎月1回開催されています。

豊橋市安全衛生管理体制

豊橋市安全衛生管理体制

人事課福利厚生グループ主査の杢野 孝直氏はこう語ります。「毎月、総括安全衛生管理者や産業医の日程を確保するのは大変ですが、貴重な話し合いの場ですから必ず月1回開催しています。委員の日程調整が完全に整わない場合でも開催を先送りにするのではなく、事務局が開催日を決定し各委員の日程確保に努めています。

また、管理規程には労働安全衛生法令が規定する安全衛生推進者とは別に、市独自の「安全衛生推進員」を定め、各所属に1名配置しています。杢野主査は「各所属単位では、特に本庁では43課で823人が属していますので、法令に規定された衛生管理者等だけでは、各委員会の取り組みを各所属に周知させるのは大変です。そこで、委員会活動を各所属の職員一人ひとりに周知してもらうために『安全衛生推進員』を各所属に置いています。推進員のおかげで、本庁委員会の活動もスムーズに動いています。」と効果を語りました。市は法令を上回るきめ細かな安全衛生活動を担う担当者まで管理規程に定め、着実に安全衛生活動に取り組んでいます。

杢野主査

「各所属に安全衛生の担当者がいると
情報伝達も早いです」と語る杢野主査

2 中央委員会により各委員会活動を統一しレベルアップ

市の管理規程は、着実に取り組みを進めるために月1回の委員会開催や「安全衛生推進員」を定めていますが、一方では「中央安全衛生委員会」を定めて、市の安全衛生に係る総合調整や各委員会活動の指導を行っています。

中央委員会は労働安全衛生法上の安全・衛生委員会ではありませんが、市の安全衛生管理年間計画など市全体に係る安全衛生活動を審議・決定し、各委員会に周知しています。これにより各委員会活動の統一を図りながら、各委員会がさらに工夫を加えた取り組みの展開につながっています。また、中央委員会は副市長が会長となり、各事業場の総括安全衛生管理者(部長級)や職員の代表者等がメンバーとなっており、各総括安全衛生管理者からは各委員会の活動状況が報告されています。杢野主査は「年4回開催する中央委員会では、必ず全ての委員会から活動報告をしてもらっています。従って、各総括安全衛生管理者はきちんと報告できるように、日ごろから自分が管理者となっている委員会活動にしっかりと取り組んでいます。こうして、中央委員会を開催して情報共有を図ることで、各委員会の活動レベルを高い水準に保つことができます。」と効果を語りました。

中央委員会開催の効果

取り組み 効果
市の主目標、基本方針及び施策の決定と各委員会への周知 目的・活動の統一
公務災害事例、優良事例の情報共有 公務災害の削減
各委員会の活動報告 高い活動水準の保持

また、管理規程により中央委員会には3つの小委員会が置かれており、健康管理、交通事故及び公務災害等について調査・研究事項が発生した場合には、必要に応じて開催し、専門的な事項について効率的な検討が行われています。杢野主査は「制度の見直しやマニュアルの策定・変更などは、大所帯の委員会ではなかなか集約・決定しにくい事項です。そこで、専門的な課題が生じたときに、小委員会を開催して検討しています。『交通事故防止マニュアル』見直しの際は『交通事故小委員会』を開催し、マニュアルの改訂について検討を行いました。」と意義を語りました。

3 交通事故防止マニュアルの作成等交通事故削減の取り組み

豊橋市は、自動車保有台数や交差点が多いことなどから、交通事故多発地帯となっています。職員の交通事故も増加傾向にあったことから、公務災害・通勤災害の削減を図るために、平成13年度に中央委員会が「豊橋市職員交通事故防止マニュアル」を作成しました。その後、平成19年度に見直しを行い普及・啓発に努めてきましたが、職員の交通事故はほぼ横ばい状態でした。

そこで、中央委員会ではさらに取り組みを強化するために、平成24年度にマニュアルをリニューアルしました。より分かりやすく職員に読んでもらえるマニュアルにするとともに、具体的・直接的なチェックや実施する研修等を盛り込みました。人事課課長補佐の中田 浩次氏は「改訂前のマニュアルは、だれがどう取り組めばよいのか分かりにくいところがありました。そこで、平成24年度のリニューアルでは、職員が一目見て分かりやすいように身近な事例を入れるとともに、自分が何に取り組めばよいか対象者と取り組みを明確にしました。」とリニューアルについて語りました。

中田課長補佐

「分かりやすいマニュアルで意識変革に努めます」と語る中田課長補佐

強化した主な取り組み

取り組み 概 要
交通安全教育 大型車や特殊車両等を使用する事業場において安全運転講習を実施し、運転技能の向上を図る
交通安全チェック 自転車通勤が多い事業場で、交通法規の順守状況を抜き打ちで調査・集計し、職員へ周知
公用車使用が多い事業場で、一旦停止の順守状況を抜き打ちで調査・集計、職員へ周知
再発防止策 過失割合50%以上の交通事故の当事者が交通安全特別講習の受講前に、事故直後から取り組んだ再発防止策の実行状況を検証

また、業務や経験に応じたきめ細かな交通安全教育も実施されています。交通法規講習会は全職員を対象に、中央委員会が主催し3日間で6回開催されて、全庁的な交通安全教育が実施されています。また、新規採用職員には運転適性検査と業務・通勤での運転に係るフォローが行われています。

さらに、交通事故・違反の事例と処分内容は、中央委員会から各委員会を通じて全職員に周知され、安全運転の注意喚起が図られています。各委員会には事故件数削減目標の数値を出してもらうことで、当事者意識を高めています。

アドバイザーより一言

アドバイザー/戸田氏

「豊橋市職員安全衛生管理規程」に基づき市全体の安全衛生活動を統括する中央安全衛生委員会の傘下に、本庁安全衛生委員会等11の事業場委員会並びに直属として健康管理、交通事故等3つの小委員会が設置され、業務内容に応じたきめ細かい運営がされています。各事業場委員会では、安全意識向上を目的とした労安だより等が発行され、活動方針や時事等イラストを盛り込んだ、分かりやすい内容で全職員の情報共有を図っており、素晴らしい取り組みです。

今後は、公務災害の一層の削減を図るため、災害の根本原因を4M(人間的要因、設備的要因、作業的要因、管理的要因(規程等の不備等))で検討し、各経過を時系列に整理して再発防止対策に取り組まれることをお勧めします。災害ゼロ達成は顕在化した災害対策だけではなく、先取りの対策を行うことが効果的で、具体的には危険予知活動やリスクアセスメント等を全員参加で行うことが有効です。

中央労働災害防止協会 中部安全衛生サービスセンター
安全管理士 戸田 準

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City profile

愛知県豊橋市

豊橋市位置

  • 面積 261.35km2
  • 人口 380,149人
    (2013.11.1現在)
  • 人口密度 1,455人 /km2

見どころ

伝統の手筒花火 400年以上続く伝統の手筒花火

特産品

豊橋カレーうどん 新たな豊橋名物・豊橋カレーうどん

キャラクター

トヨッキー トヨッキー

City office

豊橋市役所

豊橋市役所

〒440-8501
愛知県豊橋市
今橋町1
取材先:人事課

職員数3,464人
【内訳】
一般行政 1,429人
教育 273人
消防 322人
公営企業等 1,440人
(2013.4.1総務省調査)

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