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Report13 Kakogawa City

着実な活動と気づきの浸透で安全衛生を向上 加古川市

取り組みのポイント

  • 法令どおり月1回安全衛生委員会を開催。また担当者会議等で委員会の連携を確保
  • 長時間勤務者や有所見者等ハイリスクな職員の多い所属に健康相談を実施
  • メンタルヘルスプランの周知や睡眠相談窓口の開設等により「気づき」を促進

加古川市は法令どおり毎月1回安全衛生委員会を開催し、年間計画に基づき着実に安全衛生活動を展開しています。また、定期健康診断の有所見者等ハイリスクな職員が多い職場への健康相談の実施やメンタルヘルスプランの周知により、不調への「気づき」を促進しています。こうして、着実な活動と「気づき」の浸透により安全衛生の向上を図る、加古川市の取り組みを紹介します。

1 月1回の安全衛生委員会開催等により着実に安全衛生活動を実施

加古川市は、安全衛生規程等により5つの安全衛生委員会を設置していますが、全ての委員会が毎月1回委員会を開催しています。保健師で人事課安全衛生担当係長の井ノ口 佳代子氏は「5名の総括安全衛生管理者が置かれる体制になった平成15年度から、労働安全衛生法令に定められた基準を満たすように、全ての委員会が毎月1回開催されています。また、環境部は清掃事業を行い、ごみ焼却処理を行うクリーンセンター等の施設も所管していますので、同じ市長事務部局ですが別の委員会を設置しています。」と市の体制について語りました。

加古川市安全衛生管理体制

安全衛生管理体制

平成17年度の労働安全衛生法の改正では、安全・衛生委員会の調査・審議事項にリスクアセスメントの実施、安全衛生計画の作成・実施・評価・改善、過重労働による健康障害防止対策及びメンタルヘルス対策が追加されており、これらの課題に十分対応していくためにも、月1回の委員会開催が求められています。市では委員会開催を定例化し、年度当初に総括安全衛生管理者(部長級)や産業医等の年間日程を確保するなどの取り組みにより、着実に安全衛生活動を実施しています。

月1回開催の取り組み

区分 取り組み
出席の確保 原則として毎月第3木曜日を開催予定日とし、総括安全衛生管理者(部長級)や産業医の日程を確保する
日程決定は2か月前を基本とし、委員全員の出席率を高める
会議次第に次回開催日を明記
議事の設定 前年度に毎月の審議事項等を盛り込んだ次年度の事業計画を決定
当年度は事業計画に基づく毎月の審議事項等についてPDCAサイクルを実施

市職員委員会

活発な意見交換が行われる市職員委員会

角谷氏

巧みに発言を促す総括安全衛生管理者で
議長を務める総務部長の角谷 賢造氏

石川先生

分かりやすいアドバイスを行う
産業医の石川 雄一先生

また、5つの委員会の事務局担当者が出席する「安全衛生委員会事務担当者会議」が年2回開催されて協力体制を構築し、各委員会の年間計画や職場巡視の結果等について情報共有を図っています。平成25年度は市職員委員会が改良した職場巡視のチェックリストが、この会議での提案を経て、他の4つの委員会の職場巡視でも使用されることとなり、より効果的な職場巡視につながっています。さらに、この会議でテーマが検討された合同研修会が、各委員会委員全員の出席により年2回開催されています。平成24年7月には、事務職場ではほとんど機会のない指差し呼称による安全確認のグループ演習が行われ、事務職場における危険予知活動の必要性を各委員が学ぶなど、実践的な合同研修によって委員全体のレベルアップが図られています。

2 ハイリスク職員が多い所属に健康相談を実施

過重労働は疲労の蓄積をもたらし、さまざまな健康障害のリスクが高まります。また、過重労働を放置することは安全配慮義務違反にもかかわってきます。そこで市では、労働安全衛生法を上回る月30時間以上の長時間勤務者に面接相談を通知しています。さらに、長時間勤務者等や健康診断での有所見者が多いなど、ハイリスクな職員を抱える所属の職員全員に対して健康相談を実施し、予防的な支援に力を注いでいます。井ノ口係長はこう語ります。「長時間勤務者等のハイリスクな職員が多い職場には、他にも不調者がいる可能性があります。こうした所属を優先に、臨床心理士を中心とした健康管理スタッフによる面接を行っています。不調者の早期発見を図るために、所属全員に対して面接を行っています。」

健康診断の結果により有所見者や喫煙者・アルコール摂取者が多い所属、メンタル不調者が生じた所属等を選定し、所属職員全員を市役所の保健室や各施設において、一人あたり40分程度をかけて丁寧に個別面接を行っています。こうしたハイリスクグループへの健康相談の実施は、職員一人ひとりの心身の健康保持への意識向上や、所属長による部下への業務の配慮等を促進しています。

所属単位での健康相談実施状況

対 象 年度 課所数
・長時間勤務者が多い所属
・健康診断結果で有所見者や喫煙者・アルコール摂取者が多い所属
・メンタルヘルス不調者が生じた所属
・心身の疲労蓄積度チェックリストによるハイリスク者の多い所属
・市役所で定例開催している健康相談に参加しにくい各施設や希望する所属
22
23
24
25
※平成25年度は10月末現在

井ノ口係長

職員から信頼の厚い職域保健師の井ノ口係長

田中氏

粘り強く安全衛生の向上に取り組む
人事課安全衛生担当副課長の田中 康夫氏

3 メンタルヘルスケアプラン周知等の取り組みで「気づき」を浸透

市では国の動向を踏まえ、平成24年度に今までのメンタルヘルスに係る取り組みを十分知ってもらって、きちんと活用してもらうために、5つの安全衛生委員会の審議を経て「加古川市職員メンタルヘルスケアプラン」を作成しました。このプランでは、それまでの市の状況を「周囲の気づきが動機やきっかけになった相談事業の利用は少なく…」と分析し、同僚や管理監督者の早期発見・早期対応の促進を目標の最初に掲げています。そこで、特に管理監督者が「早期に不調者に気づき、支援につなげること」ができるよう、幹部会議での説明や新任の課長・係長研修等での講義などで、プランの徹底した周知を行いました。井ノ口係長はこう語ります。「次長会議で趣旨説明ができたことが効果的でした。各次長からラインの管理職へ、部下の不調に早く気づいて支援につなげるよう働きかけがあり、管理監督職から部下の健康に関する相談も増えました。」

また、職員一人ひとりに対しても、平成24年度から「睡眠相談」を開設して「気づき」を促進しています。睡眠障害はメンタルヘルス不調のサインの一つですから「睡眠」をテーマに相談を行うことは、不調の早期発見につながります。井ノ口係長は「不調を抱える職員の多くは睡眠障害も抱えています。そして、メンタルヘルス不調だと話しにくい職員も、睡眠を切り口にすると気軽に話すことができるため、早期の支援につながっています。」と効果を語りました。

プランの周知、プランに基づく「睡眠」・「気づき」をテーマにした健康講座の実施及び睡眠相談の開設等により、プランの目標である「早期に気づき、支援につなげること」が着実に職員全体に浸透しています。

アドバイザーより一言

アドバイザー/本田氏

各安全衛生委員会が取り組みに係る年間計画を策定し、それに基づいて安全衛生活動が展開されています。委員会の活動状況は「安全衛生委員会ニュース」により、職場巡視の結果及び改善状況等を写真入りで周知するなど、庁内イントラネット等で全庁的な情報共有が行われ、各職場の自主的な職場環境改善を促進しています。

平成25年3月に策定された「加古川市職員メンタルヘルスケアプラン」に係る取り組みでは、プランの周知や「睡眠相談」の実施等により健康相談窓口の敷居を低くすることで、相談件数増加等の成果につながっています。

今後は、職場の不安全・不衛生状態の削減と職員の安全意識の向上を図るために、ヒヤリハット提案制度の活用をお勧めします。引き続き、地道かつ組織的に安全衛生活動に取り組まれ、職員全員で築く安全衛生環境の一層の定着化を期待します。

中央労働災害防止協会 近畿安全衛生サービスセンター
安全管理士 本田 篤仁

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City profile

兵庫県加古川市

加古川市位置

  • 面積 138.51km2
  • 人口 271,620人
    (2013.11.1現在)
  • 人口密度 1,961人 /km2

見どころ

加古川の俯瞰 加古川の俯瞰

ご当地グルメ

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名軍師「官兵衛」の妻
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City office

加古川市役所

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〒675-8501
兵庫県加古川市
加古川町北在家2000
取材先:人事課

職員数1,660人
【内訳】
一般行政 955人
教育 232人
消防 317人
公営企業等 156人
(2013.4.1総務省調査)

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